抵当権抹消登記

今回は復習並びに将来の実務を見据えて抵当権抹消登記について書いていきたいと思います。

なお、あくまでこれは知識の再確認のためのもので、依頼を目的にしていません。

私は司法書士有資格者ですが、登録前であるため、現時点では相談業務を行っていないことをご理解ください。

抵当権は通常銀行か保証会社が設定すると宅建実務講習で習った気がします。

以下、抵当権抹消登記のいくつかのパターンを見ていきます。

目次

抵当権抹消登記の一例

登記の目的 〇番抵当権抹消

原因 令和6年5月31日弁済

権利者 東京都文京区大塚〇丁目〇番 A

義務者 東京都文京区大塚〇丁目〇番〇号

     株式会社○○銀行

     (会社法人等番号 1234‐56‐789012)

     代表取締役 山田太郎

添付情報 登記原因証明情報

     登記識別情報(株式会社○○銀行の〇番抵当権のもの)

     会社法人等番号

     代理権限証明情報

登録免許税 金1000円

解説

これは登記原因が「弁済」の場合です。

弁済日が不詳の場合は「年月日不詳弁済」と書くとのことです。

法務局にある申請書の記載例を調べると、不動産の表示なども入るのですが、ここでは省略しています。

また、法務局にある申請書の記載例を見ると「〇番抵当権抹消」ではなく、単に「抵当権抹消(順位番号後記のとおり)」として、不動産の表示の不動産の表示の末尾に「(順位番号1番)」のように記載するとあります。

実務ではソフトがあると思うので、登記ソフト次第だと思うのですが、少し興味深いです。

登録免許税

抵当権抹消の場合は登録免許税は土地または建物1個につき金1000円です。

登記原因が「解除」の場合

登記原因が「解除」の場合も「弁済」と変わりません。「年月日解除」となります。

この「解除」と「弁済」においては見分け方があるそうです。

どうやって見分けるかと言えば、解除の場合は「当権者は、後記記載の不動産に設定した抵当権を解除します」などと書いてあるそうです。

この場合は「年月日解除」が登記原因になるという事です。

「解除」か「弁済」か紛らわしい場合

もっとも、登記原因情報において、「解除」か「弁済」かが紛らわしい場合もあるとのことです。

それは、「年月日をもって登記された下記の不動産の抵当権を解除します。年月日弁済による解除」などと記載されている場合です。

この場合、債務の消滅原因として「解除」と「弁済」の双方が存在するという事はありません。

「弁済」があった時点ですでに債務が消滅するので、解除できないという事から「年月日弁済」となるとのことです。

これは「抵当権・根抵当権に関する登記の実務」という本で学びました。

この本は決済の現場などについても書かれており、非常に有益は本でおすすめです。

所有権が時効取得されたことによる抵当権抹消登記

抵当権の債務者又は抵当権設定者でない者が、抵当不動産を取得時効により取得した場合、抵当権は消滅します(民法397条)。

この場合の登記原因は「年月日所有権の時効取得」となります。

日付が時効取得の機関の起算日なのに注意が必要です。

なお、弁済と異なり起算日が不詳の場合には「年月日不詳時効取得」との登記はできないという事です。

時効の起算日が明確でない場合は、いつ10年または20年が経過したかわからないから当然と言えば当然だと思います。

主債務消滅による抵当権抹消登記

保証委託契約による求償債権を担保している抵当権において、主債務者から弁済があった場合は、保証人の求償権は消滅します。

よって、抵当権抹消登記が必要になります。

この場合の登記原因日付は「年月日主債務消滅」となります。

また、保証委託契約に基づく求償債権を担保するための抵当権設定登記がされている場合において、保証人が債権者に保証債務を弁済した後、主債務者が保証人に求償債務を弁済した場合は「年月日弁済(債務者が保証人に弁済した日が原因日付になる)」と登記原因として抵当権抹消登記ができます。

保証人の求償権を担保するために主債務所有の不動産に設定された抵当権設定登記の抹消

この場合抹消原因は「主債務消滅」に限られません。

抹消登記の登記原因証明情報に「年月日解除(または放棄)」などという原因が記載されている場合は、抹消原因は「年月日解除(または放棄)」となるとのことです(登研573.123)。

抵当権抹消登記におけるいくつかの注意点

抹消原因日と登記原因情報の作成日が異なった場合

登記原因情報の作成日が、登記原因証明情報に記載された登記原因日よりも後の日である安倍は、登記原因情報の適格性は失われないとのことです。

例えば、抵当権抹消登記の登記原因証明情報の登記原因日が「令和4年3月1日弁済」で、登記原因証明情報の作成日が「令和4年3月15日」でも有効になります。

一方で、登記原因日が「令和4年3月22日弁済」で、登記原因証明情報作成日が「令和4年3月1日」の場合は認められません。

弁済前に登記原因証明情報は作成できないので当たり前と言えば当たり前です。

登記原因情報作成日は、登記原因日と同日又はそれ以後でなければならないという事です。

不動産の表示

不動産の表示の記載のない弁済証書又は契約解除証書は、抵当権抹消登記としての適格性を有しません。

法務局の抵当権抹消登記の記載例でも、登記申請する不動産について登記記録に記載されているように正確に記載することが要求されています。

https://houmukyoku.moj.go.jp/shizuoka/page000001_00197.pdf

まとめ

結局のところ、解除か弁済かについては、登記原因証明情報の記載をしっかり読むという事なのでしょうね。

銀行は登記原因を「弁済」にする場合も、「解除」にする場合もあるので、依頼を受けた側が間違えないようにしないといけません。

まだ司法書士登録をしていない段階ですが、この段階からしっかりとした意識を持っておきたいと思います。

今回はここまでにしておきたいと思います。

今度は、私が受験時代苦手だった休眠担保権についてまとめてみたいと思います。

こうやって研修前に知識の再確認ができるのは、時間があるおかげなのかもしれないですね。

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