読売新聞オンラインで、三重県松阪市の再配達を減らし、環境負荷を軽減する取り組みが紹介されています。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20241211-OYT1T50006/
松阪市の「置き配プレート」とは?
松阪市は、宅配業者に「置き配希望」を明確に伝えられるプレートを市民に先着1000名限定で無料配布しています。
プレートには両面に「置き配OKです」と記されており、玄関ドアノブなどに掛けて使用します。
これにより、再配達を削減し、配送に伴う二酸化炭素(CO₂)の排出を抑えることが目的です。
現在のところ、開始から短期間で400件の応募があり、市民の関心の高さがうかがえます。
私の事務の体験から:再配達が起きる理由がさまざまであることについて
以前もこのブログで、私がある宅配事業で再配達の電話応対をしていたことを書いたと思います。
再配達を依頼する方々は様々な理由があります。
単に留守にしたという方や、その時間にはいると思っていたのに急用で出かけた方。
仕事が遅くなりその時間に戻れなかった方など様々です。
多くの方は私が電話を受けると「申し訳ないのですが」とおっしゃっていました。
最近、宅配業者の労働時間の問題が叫ばれています。労働時間削減のためには、再配達を減らす必要があります。
しかし、いくら再配達を減らしたいと言っても、お客様にも事情があります。
お客様と宅配業者双方にとってメリットがあることが大事だと私は考えています。
再配達削減のメリット
再配達削減のメリットとしては以下のようなものがあげられます。
環境への貢献
日本全国では、年間約5億2100万個の宅配便が再配達となり、それにより発生するCO₂は膨大です。
松阪市内でも年間約70万個が再配達され、CO₂排出量は約300トンに達すると試算されているそうです。
人口16万人程度の松阪市で、70万個の再配達というのはいささか驚きですが…。
置き配の普及は、増大している再配達の量を大幅に削減できる可能性があります。
労働環境の改善
再配達は配達員の労働負担を増やす原因でもあります。
私も事務をしていた時、配達員の方に「申し訳ないのですが…」と電話をしていました。
これは本当に心苦しかったです。
場合によっては仕事が終わる時間がさらに遅くなる場合もあるわけです。
配達員の方が戻ってきたときはいつも「すいません」と謝っていました。
現在、物流業界では人手不足が深刻と言われており、業務効率化が急務です。
置き配を活用することで、配達員の負担軽減につながります。
置き配の課題:盗難リスクをどう解決するか
置き配には利便性がある一方で、盗難被害が発生するリスクも無視できません。
これはこの間、記事にもなっていました。
https://dot.asahi.com/articles/-/241630
この課題に対し、松阪市は置き配に加えて、宅配ボックスの設置を推奨しています。
松阪市の素晴らしい所は、購入・設置費用が合計8万円以上の場合、市が2万円を補助するところです。
現在の進歩状況は12月10日現在で3件の申請だそうですが、11月からこの制度が始まったばかりであることからすると、さらなる利用が見込まれると思われます。
他自治体への展望と必要なサポート
松阪市の取り組みは、他の自治体が参考にすべきモデルケースだと思います。
しかし、置き配や宅配ボックスの普及には行政の支援が欠かせません。
また、戸建て住宅だけでなく、老朽化したマンションにはオートロックがないものもあります。
こういった住宅に対してもオートロックの設置に一定の補助金を出せば、治安対策や置き配の減少につながるのではないでしょうか。
置き配や宅配ボックス普及によるCO₂削減は、一つの自治体に留まらず、全国規模で取り組むべき課題です。
松阪市のような制度を導入する自治体が増えれば、物流全体の効率化が進み、治安の改善にも役に立つと私は思います。
5. まとめ
松阪市が進める「置き配」や宅配ボックス推進の取り組みは、再配達削減によるCO₂削減効果だけでなく、配達員の労働環境改善、防犯強化など、多方面にわたるメリットをもたらします。
しかし、盗難リスクや設置コストといった課題への対応も必要です。
こうしたバランスをとった政策を実現するためには、行政の支援が欠かせません。
他の自治体でも、行政の支援の下に、同様の取り組みが広がり、置き配問題に対処することが、持続可能な社会に求められるのではないでしょうか。