【第4話】登記事項証明書が出せない!? 自宅の登記で初めて知った「法務局の壁」

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はじめに|敷地権がないなら、土地の登記も必要?

敷地権がついていない区分建物だった。
それに気づいた前回の出来事で、私はようやく建物と土地の登記を切り分けて考えるようになりました。

「じゃあ、土地の登記事項証明書も取得しなきゃな。」

気持ちを切り替えた私は、さっそく作業を始めます。
今回扱っているのは、私の自宅マンションに関する抵当権抹消登記。
つまり、土地の権利関係も正確に把握しておく必要があるのです。

登記情報提供サービスで…まさかの「取得不可」

まずは、オンラインで調べられるところまで調べておこうと思い、
司法書士試験のときにも使っていた「登記情報提供サービス」にログイン。

所在地の住所はブルーマップや住宅地図などで正確に確認済み。
間違いのないはずの住所を入力して検索をかけたのですが──

「あれ?……ない?」

検索しても、なぜか土地の登記情報が表示されないのです。
何度やっても結果は同じ。「地番の候補が見つかりません」の表示。

このとき、私はまだ司法書士として正式に登録もされておらず、経験もない状態でした。
「なぜだ?」
不安になった私は、思い切って現地の法務局に行ってみることにしました。

松戸の法務局で、思わぬ展開

ちょうど千葉県の松戸市にいた私は、松戸法務局へ向かいました。
そこで「文京区と台東区にある土地の登記事項証明書をください」と申請。
対応してくれた職員の方は「少々お待ちください」と言って、丁寧に奥へ下がっていきました。

しばらくして戻ってきた職員の方からこう告げられます。

「申し訳ありません。こちらでは発行できないようです。土地のある法務局で申請をお願いします。」

理由を尋ねると、
「該当マンションは筆数が多く、一部事項証明書としても相当な量になるため、
東京の法務局でないと対応が難しい」とのことでした。

郵送で対応することにしたが…

松戸なので東京法務局や台東出張所へ出向くことも考えましたが、
2か所を回るのはなかなか面倒です。

「よし、郵送にしよう。」

職員の方が用意してくれた申請書式を使い、
東京法務局・台東出張所宛に申請書を作成して郵送することにしました。
自宅での登記という安心感もあり、「登録が終わったら一気に進めるぞ!」と意気込んでいたのですが──

思った以上に、進まない。

マンションのように不動産の筆数が多い場合、
一つの証明書を取るだけでも、予想以上の労力がかかることを実感しました。

抵当権抹消登記って、意外と大変…

正直、このときは少し落ち込んでいました。

試験では「抵当権抹消登記は簡単」と教えられてきました。
解除証書があれば、あとは形式的な申請書を出すだけ──。
そんな認識だった私にとって、
「地番の特定も難しい」「法務局に行っても取れない」「筆数が多くて郵送対応になる」
という現実は、まさに試験とのギャップを突きつけられた感覚でした。

それに、あとで分かったのですが、そのマンションって、司法書士の中でも結構有名らしいんですよね…。

でも、これは“自分の家”のこと。
そして、父から任された初めての仕事。
何より、司法書士として実務の世界に踏み出す第一歩。

「簡単には終わらないかもしれないけど、だからこそちゃんとやろう。」

そう思い直し、次の作業に取りかかることにしたのです。

ところが──申請直前に、まさかの困難が

土地の登記事項証明書もようやく揃い、
「これでいよいよ申請書が作れる!」と、私はすっかり気を良くしていました。

この日は、偶然にも司法書士会の入会式当日
「午前中に登記申請をパパッと済ませて、午後はスーツで入会式。完璧な1日になりそうだ。」
そんな青写真を描きながら、私はパソコンを立ち上げました。

──申請用総合ソフトを起動。

──必要項目を入力しはじめる。

ところが。ふと私は手を止めることになります。

「……ん? これ、どういう意味?」

予想外の”ちょっとした困難”が、私の快晴プランに雲を呼び込もうとしていたのです。

次回、第5話では「入会式当日、登記申請が進まない!?」
司法書士人生の始まりを彩る(はずだった)その朝の出来事を、詳しくお話しします。

(第5話へ続く)

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