1. 空き家問題をご存じでしょうか?
現在空き家問題が世間を騒がせています。
空き家とは一般に。日本では、少子高齢化や人口減少が進むにつれて空き家の数が増加しており、社会的な問題として認識されるようになっています。
総務省の調査によれば、この20年間の間に、空き家の件数は約1.5倍になっているといいます。
二次的利用、賃貸用又は売却用の住宅を除いた長期にわたって不在の住宅などの「その他空き家」(349万戸)に至っては、この20年で約1.9倍も増加しています。
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001518774.pdf
この空き家問題は、ただ建物が使われていないだけではなく、地域の防犯や防災、景観、経済活動など、さまざまな側面に悪影響を与えています。
今回は、この空き家問題が具体的にどのような問題を引き起こしているのか、またその解決に向けた取り組みについて詳しく見ていきたいと思います。
2. 空き家問題の問題点
空き家が増加することによって引き起こされる問題は多岐にわたります。以下では、空き家がもたらす主な問題点について詳しく説明します。
1. 防犯・防災リスクの増加
まず、空き家が放置されることで防犯リスクが高まります。
無人の住宅は不法侵入者にとって格好の標的となり、窃盗や不法占拠が発生しやすくなります。
また、空き家は火災や犯罪の温床となる可能性が高く、防災上の問題も抱えています。
YouTubeで見つけたのですが、この動画のように空き家から火事が発生する場合もあります。
また、古くなった建物は倒壊する危険性もあり、地震や台風などの災害時には特に深刻です。
今年1月に能登半島で地震がありましたが、被害の大きい地区にはは空き家が多く存在していたといいます。
この場合、倒壊した空き家が火災などで周囲に被害を及ぼすだけでなく、場合によっては、相続人が損害賠償責任を負う可能性もあることに注意が必要です。
2. 地域の景観や環境の悪化
空き家が増えると、その地域の景観や環境に悪影響を与えます。長期間管理されていない建物は老朽化し、見た目が荒れ放題になることが多く、雑草が伸び放題になった庭や崩れかけた建物は、周囲の住民にとって不安を与えます。
このようなことを言うと「自分は空き家を相続するつもりがないから大丈夫」と考える方もいるかもしれません。
しかし、予想もしないことが起きるのが人生というものです。
この動画では、相続人が100人以上いる空き家の話が扱われています。
いかがでしょうか?
「空き家問題」は、この記事をお読みの方にもいきなり振ってかかる問題かもしれないのです。
3.「何とかなる」と思って放置されている空き家もあります
空き家を所有している場合でも、維持管理にかかる費用は所有者の負担となります。
固定資産税や修繕費用など、空き家があることで発生するコストは無視できません。
しかし、東京のような都会では、固定資産税があったとしても空き家をそのままに放置している場合があります。
おそらく多くの方がわかると思うのですが、地価の高い東京などでは、土地を持っているだけで資産となります。
価値のある資産というものはいざ売ろうとしたときに買い手が付きやすいです。
そのため「今はまだ売らないでいい」と考えがちなのです。
2023年法改正により「管理不全空き家」にも税の優遇措置が廃止されました
政府は2015年に「空き家対策特別措置法」を施行し、自治体が放置された空き家を強制的に解体する権限を持つようになりました。
そして、倒壊の危険性などがある「特定空き家」については、住宅がある土地に適用されるを固定資産税の優遇措置をやめ更地と同様の固定資産税を科すことにしました。
このことにより「特定空き家」は、最大約6倍の固定資産税がかかることになりました。
それ以外にも行政代執行や50万円以下の過料なども「特定空き家」には適用されます。
そして、2023年12月には「空き家対策特別措置法」が改正され、倒壊の恐れがなくても、管理不全であるとみなされた「管理不全空き家」に対しても税の優遇措置が廃止されました。
今や空き家問題は国の重大問題です。
3. 空き家問題は地方だけの問題か?
一見すると、空き家問題は地方に特有の問題であるように感じられます。
少子高齢化や若年層の都市部への流出が進む地方では、空き家が特に目立っており、農村部や山間部での空き家率は全国平均を大きく上回っています。
しかし、空き家問題は地方都市に限った問題ではありません。
1. 都市部での空き家増加の原因
都市部での空き家増加にはいくつかの要因があります。
まず、不動産の価格が高騰し、若年層が住宅を購入できないという問題が挙げられます。
これにより、古くなった住宅やリノベーションの手間がかかる物件は敬遠され、空き家となりやすいです。
また、都市部では単身世帯や高齢者世帯が増えており、住居が人手に渡らず空き家になるケースが増えています。
さらに、都市部の空き家には「隠れ空き家」と呼ばれる問題もあります。
これは、表向きには空き家として認識されていないが、実際にはほとんど利用されていない物件のことです。
例えば、オーナーが相続したまま放置している家や、投資目的で買われたものの賃貸にも出されていない物件が該当します。
2. 都会の空き家が地域社会に与える影響
都市部での空き家問題が進行することで、地域社会への影響も無視できません。
たとえば、東京や大阪などの大都市圏においても、老朽化した住宅が増えることで防災リスクが高まり、災害時に倒壊の危険がある建物が問題視されています。
空き家の活用促進
空き家問題を解決するためには、国や自治体、地域住民、そして不動産業者など、さまざまな関係者が連携して取り組む必要があります。
様々な対策がある中でも、空き家を新たな用途に転用することは、問題解決に向けた有効な方法の一つです。
例えば、若者や子育て世代向けの賃貸住宅にリノベーションしたり、観光資源として古民家を活用する例が増えています。
また、空き家をシェアハウスやコワーキングスペースとして利用するなど、地域のニーズに合わせた新たな価値を提供することで、空き家を有効活用することができます。
この動画では、富山県の空き家対策の取り組みとして上市町の0円空き家バンクや「やなせ空き家ねっと」の方々が、空き家を教育の場などに利用していることなどが紹介されています。
私が空き家問題に関心を持った理由
私が空き家問題について、詳しく話を聞いたのは今年の2月頃に行われた、神奈川県のFP協会の研修会でのことです。
その研修会には、横浜市立大学の齋藤広子教授がいらっしゃって、空き家問題について様々な視点から講演をされていました。
私は中学時代に普通の生徒と異なる体験をしたこともあり、治安の問題について極めて強い関心を持っています。
空き家が増えれば防犯上の問題も増え、また、災害の危険性も高まっていきます。
言い方を変えれば、空き家を減らすことで防犯上の不安も減少し、災害の危険性も低くなるのです。
それだけではありません。
空き家が減り土地が有効に活用されれば、都市は活性化して住む人も増えます。
空き家をどう活用するかは日本の未来にもかかわってくると思います。
単に空き家を「負動産」として、「いらない土地を処理すればいい」と考えるか、それとも、「再活用して都市の発展につなげる」ことを考えるかで日本の未来も決まると思います。
少子高齢化が進み人口が減少するのはやむを得ないと思うのですが、それをストップさせなくていいのでしょうか?
このまま日本社会が停滞するか、再度活気を取り戻すかは、「負動産」を「富動産」にできるかということと密接にかかわっているような気もします。
私は今年の司法書士試験の筆記試験に合格しましたが、最終合格して司法書士登録をした後は、この空き家問題とかかわっていきたいと思っています。
その前に就職ですけどね…。