令和6年度司法書士試験択一 午前の部(10問目か12問目まで)

今回は令和6年度司法書士試験択一午前の部の10問目から12問目までを私が会場でどう解いたかを解説していきたいと思います。

目次

10問目

当時私が考えていたこと

一番間違っているのを分かりやすいのはイですよね。もしわからないという方がいる場合は、ご自身の持っているテキストなどを読み返してください。

これはあまりに有名な判例です。

アも簡単ですよね。これは正解です。

この時点でイが間違っていてアが正解なので答えが3と分かります。

ただ、こういう場合も私は他の肢を検討します。

ウもわかりますよね。

第282条【地役権の不可分性】

① 土地の共有者の一人は、その持分につき、その土地のために又はその土地について存する地役権を消滅させることができない。

オについては、試験会場では「多分そうだろうな」と思ったのですが少し不安でした。地下の送水管の使用についてはあまり知らなかったので…。

でも、他人が地下の送水管を無断していて、いきなり「時効取得したからな!」と言われたらびっくりしますよね。

さすがにこれはあり得ないと思いました。

エの肢ですが、これは予備校の模試で出ていました。

そのため間違っているとすぐわかりました。

地役権は要役地の利用価値を増すものでなければいけませんよね。

エの場合は、建物のない部分についてはもはや地役権を設定する意味がないため、地役権は消滅するという事だと思います。

ちなみに、注釈民法では、解説で引水地役権が土地の東半分にのみあった場合、その土地が分割された場合は、西半分の地役権は消滅するとあります。

これを書かれたからは、中尾英俊教授だそうです。

「英俊」…。

11問目

アについては説明いらないですよね。これは正解です。

イについては牽連関係がないためダメですよね。この肢は間違いです。

この時点で正解は3,4のどちらかです。

私は結構ひねくれているので、こういうときはオの肢を見るときもあります。

オの肢ですが、有益費の支出がAが自らに占有権限のないことを知った後にされていますよね。

この場合留置権は成立しません。

エについては、判例で清算金が支払われる以前に,第三者から目的物の引渡請求を受けた設定者は,清算金債権を被担保債権として,目的物について留置権を行使することができると認められています。

そのため、エは正解です。

ウなのですが、これは判例があり、借家人が家主に対する債権に基づき留置権を行使する場合であっても、家主でない土地明け渡し所有者からの返還請求に対して留置権を行使することはできないとあります。

この判例を知らなくても、賃借人の必要費返還請求は賃貸人に対するもので土地所有者に対するものではないので、履行を強制する関係にはないとして判断できると思います。

オの肢が簡単なので、それほど細かいことを知らなくても大丈夫ではないでしょうか?

12問目

私はどちらかと言えば先取特権は苦手です。

なので、できるだけわかりやすい所を見つけて解いていきました。

オの肢は間違いなのがわかりますよね。

不動産保存の先取特権は、保存登記「後」ですよね。

第337条【不動産保存の先取特権の登記】

不動産の保存の先取特権の効力を保存するためには、保存行為が完了した後直ちに登記をしなければならない。

次に何とか分かったのが、ウの肢です。これは条文ですよね。

ただ、本試験には独特の緊張感があります。ほかの肢もしっかりと健闘したうえで答えを出す必要があるので「多分そうだったな」と思って〇にしていたと思います。

第327条【不動産工事の先取特権】

① 不動産の工事の先取特権は、工事の設計、施工又は監理をする者が債務者の不動産に関してした工事の費用に関し、その不動産について存在する。

② 前項の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増価額についてのみ存在する。

ちょっと怖かったのはエの肢なのですが、これは「後の保存者が優先するんだったよな」と思い間違っていると判断しました。

第330条【動産の先取特権の順位】

① 同一の動産について特別の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、次に掲げる順序に従う。この場合において、第二号に掲げる動産の保存の先取特権について数人の保存者があるときは、後の保存者が前の保存者に優先する。

一 不動産の賃貸、旅館の宿泊及び運輸の先取特権

二 動産の保存の先取特権

イの肢については、これは「ほぼ確実に間違っているんだろうな」と思いました。たしか、大学時代に我妻先生の「民法案内」を読んだのですが、これについては書いてあった気がします。

第314条

賃借権の譲渡又は転貸の場合には、賃貸人の先取特権は、譲受人又は転借人の動産にも及ぶ。譲渡人又は転貸人が受けるべき金銭についても、同様とする

残りのアの肢なのですが、よく見ると「全ての債権者にとって有益でなかったもの」とありますよね。こういった場合すべての債権者に共益費用の先取特権を与える必要はないと思います。

だから、条文は思い出せなくてもアの肢は「多分正しいのだろう」と判断できると思います。

結局、アとウが正解で答えは2番でした。

感想

試験本番は模試とは違った緊張感があります。

「失敗したら終わり」なのでミスができないのです。

模試の場合は失敗し放題ですけどね。

そのため、緊張で条文を忘れたり、基本的なことを思い出せないことも多いです。

この3問についても、覚えていたはずの条文があやふやになり「どうだったかな?」と思いながら解いていました。

最後は「どの答えが最も常識的か」といった感じで判断していました。

司法書士試験の勉強をされている方の中には、なかなか点数が上がらなくて大変な方もいると思います。

そういった方に安心していただきたいのが、「合格者はそれほどすごくない」という事です。

私がお世話になった小泉司法書士予備校のホームページには「司法書士試験は、合格するためにマスターすべき項目がハッキリしています。」と書いてあります。

これは本当だと思います。

あまり手を広げることなく、基本をしっかりと勉強してください。

そうすれば、司法書士試験は誰でも合格できます!

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