空き家・空地の活用による地域活性化の取り組みと課題
近年、少子高齢化や人口減少を背景に、全国的に空き家や空地の増加が深刻な問題となっています。
宮崎県の2023年住宅・土地統計調査では、空き家数が約9万700戸と5年前から7.7%増加し、空き家率も16.3%と全国平均の13.8%を上回っています。
https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20241124-OYTNT50060/
空き家が増加する要因としては、人口減少や世帯の縮小、住宅需要の変化などが挙げられますが、空き家問題を放置すると老朽化が進み、防犯や防災の観点からも地域に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。
国土交通省もこの問題を重視しており、注意を喚起しています。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/akiya-taisaku/index.html
この空き家問題に関して、中小企業庁のサイトでは、空き家を活用した様々な取り組みが紹介されています。
https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/jirei/01/
https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/jirei/02/
空き家活用の取り組みと課題
空き家を活用する方法としては、フリースクールや地域のコミュニティスペース、賃貸住宅への転用などが挙げられます。
これにより、老朽化を防ぎつつ地域の交流や住民サービスの向上につなげることが期待されます。
また、「空き家バンク」のような制度を活用し、移住希望者や起業家に安価または無料で空き家を提供する取り組みもあります。
特に地方では、空き家を拠点にした町おこしの成功例が増えています。
一方で、誰も利用しない空き家や管理が難しい空き家については、「相続財産国庫帰属制度」の利用も選択肢となります。
この制度を活用することで、所有者不在の空き家が放置されることを防ぎ、適切な管理が行われる環境を整えることが可能です。
ただし、手続きの煩雑さや費用の問題など、解決すべき課題も多いと言えます。
北九州市の空地活用実験:「クロスパーク」の試み
空き家ではないものの、未利用地を地域の資源として再活用する例として、北九州市で行われている社会実験が注目されています。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20241123-OYT1T50172/
同市では、JR黒崎駅前の商店街にある空地を芝生広場「クロスパーク」として整備し、市民が自由に集える憩いの場として活用しています。
人工芝が敷かれた広場にはテントや椅子が設置され、クリスマスイベントや子ども商店街といった交流イベントが開催されています。
北九州市の都市再生企画課の担当者は、この実験を通じて、人の流れや地域の魅力向上を調査し、今後の街づくりの方向性を探るとしています。
これは非常に有益な試みと言えるのではないでしょうか。
空き家・空地活用がもたらす効果
私は、空き家や空地を放置せず積極的に活用することで、地域にさまざまな効果をもたらすことができると思います。
- 地域の活性化
空き家や空地を活用したコミュニティスペースやイベント開催は、人々の交流を促し、商店街や地域の賑わいを取り戻すきっかけとなります。 - 防災・防犯の向上
管理されていない空間は犯罪や火災などのリスクが高まりますが、適切に利用されることで安全性が向上します。 - 財産価値の維持
空き家を管理することで老朽化を防ぎ、資産価値を守ることが可能です。また、管理不全による「小規模宅地の特例」適用外といった税制面でのデメリットも回避できます。
未来に向けた取り組みの必要性
空き家や空地の問題は個人の課題にとどまらず、地域全体の課題として捉える必要があります。
行政や民間企業、地域住民が連携し、多様なニーズに応じた活用方法を模索することで、問題解決と地域の発展を両立する道が開かれるのとおもいます。
これからの日本はどんどん人口が減少していくと言われています。
しかし、そのことによって住みにくい街づくりがなされていいわけではありません。
少子化対策としても、子供を育てやすい街づくりは必要なことです。
空き家や空き地に対する取り組みを通じ、誰もが安心して暮らせる街づくりをすることが、これからの日本には必要なのではないでしょうか。