遺言執行者についての注意事項遺言執行者の権限が変わりました!法改正のポイントと注意点!遺言執行者についての注意事項

遺言執行者とは、被相続人(亡くなった方)の遺言の内容を実現するために選ばれる人のことです。これまでの制度では、遺言執行者の権限があいまいな部分もあり、実務上トラブルになることもありました。

しかし、近年の法改正によってその権限が明確化され、遺言の内容をスムーズに実現できるようになりました。

この記事では、改正前の遺言執行者の権限と改正後の変更点、さらに遺言執行者に関する注意点 について詳しく解説します。


目次

1. 遺言執行者とは?その役割とは?

遺言執行者は、遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う人 です。たとえば、次のような手続きを担当します。

✅ 預貯金の解約・払戻し
✅ 不動産の名義変更(登記手続き)
✅ 株式や証券の名義変更
✅ 遺言に基づく相続手続き(遺産分割とは異なる)

遺言執行者がいることで、相続人が直接手続きを行う手間が省け、トラブルを未然に防ぐことができます。


2. 遺言執行者の選任方法

遺言執行者は、次の方法で選ばれます。

遺言で指定する(最も一般的)
遺言書の中で、あらかじめ遺言執行者を指定しておく方法です。

家庭裁判所が選任する
遺言書に遺言執行者が指定されていない場合、相続人が家庭裁判所に申し立てて選任を依頼することができます。

(遺言執行者の選任)
第千十条 遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる。

遺言執行者に誰を選ぶべきか?

  • 相続手続きをスムーズに進めるため、司法書士や弁護士などの専門家に依頼する ことが推奨されます。
  • 家族や相続人を遺言執行者にすることもできますが、相続人間での利害関係が発生する可能性があります。

3. 改正前の遺言執行者の権限(従来の問題点)

以前の制度では、遺言執行者の権限は限定的 であり、特に次のような点であいまいでした。

✅ 相続財産の名義変更(不動産の登記や預貯金の名義変更)にどこまで関与できるか不明確
✅ 相続人が行うべき手続きとの区別が不明確

このため、遺言執行者がどこまで手続きを進められるのか分からず、相続手続きが停滞することもありました。

4. 改正後の遺言執行者の権限(法改正のポイント)

1. 遺言執行者の法的地位が明確に

改正前民法1015条は,「遺言執行者は,相続人の代理人とみなす」と規定されていたこともあり、遺言執行者の法的地位が不明確でしたが、法改正により、遺言執行者の地位が明確になりました。

第千十二条 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2 遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。

つまり、相続財産に関する手続きは原則として遺言執行者が単独で行える ことが明文化されたました。

具体的には、以下の手続きが相続人の関与なく遺言執行者によって実施可能です。

預貯金の解約・払戻し(1014条3項)
不動産の名義変更(登記手続き)(1014条2項)
株式や証券の名義変更

これにより、相続人の手間が軽減され、遺言の実現がスムーズになりました。


2. 相続人が勝手に手続きを進めることができなくなった

(遺言の執行の妨害行為の禁止)
第千十三条 遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。
2 前項の規定に違反してした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

以前は、相続人が遺言と異なる手続きを勝手に進めるケースもありましたが、改正後は、遺言執行者が優先して手続きを行うことが明確化 されました。

相続人が勝手に財産の名義変更をすることができなくなった
遺言執行者が最優先で手続きを進められる

相続人同士のトラブルを減らし、遺言の内容を確実に実現できるようになりました。


6. 遺言執行者の復任権とは?

(遺言執行者の復任権)
第千十六条 遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

遺言執行者は、自己の責任のもとで、弁護士や税理士などの専門家に業務の一部を委託(復任)することが可能になりました。

例えば、司法書士が遺言執行者となった場合、不動産登記手続きは自身で行い、税務申告は税理士に依頼する、といった形で適切に業務を分担することができます。


7. 遺言執行者の行為の効果

(遺言執行者の行為の効果)
第千十五条 遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。

遺言執行者が行った手続き(例えば不動産の名義変更や預貯金の解約)は、相続人全員に対して法的な効力を持つことが明文化されました。

このことにより、遺言の執行がより確実になりました。


8. まとめ

遺言執行者の権限が拡大し、相続手続きをスムーズに進められるようになった(民法1012条第1項)
相続人が勝手に財産の名義変更をすることはできなくなった(民法1013条第1項)
遺言執行者が専門家へ業務を委託することが可能に(民法1016条)
遺言執行者の手続きには相続人全員に対する法的効力がある(民法1015条)

📢 遺言の作成や遺言執行者の選任についてお悩みの方は、当事務所までお気軽にご相談ください!

目次