はじめに|「敷地権?あるに決まってる」と思っていた
建物の登記事項証明書を取得した私は、それを見て「ふーん」と軽く受け流しました。
そこには、建物の情報とともに「共同抵当権」の記載がありましたが、
「区分所有建物なんだから敷地権があるのは当然でしょ」と、ごく自然に思っていたのです。

実際、試験勉強でも「敷地権付きの区分所有建物」が基本で、
それ以外のパターンは少数派という扱いでした。
だからこそ、私の中では敷地権があることは「前提」となっていたのです。
登記申請書を書こうとして、疑問が浮かぶ
いよいよ登記申請書の雛形を作っていこうとしたとき、
ふとした疑問が浮かびました。
「ところで、敷地権の面積って、どこに書いてあるんだろう?」

土地に関する情報が頭に浮かばず、思わず登記事項証明書を見返します。
それでもやはり、敷地権の割合や面積が記載されていないのです。
「おかしいな……記載を見落としたのかな?」
私は少し焦りを感じ始めました。

焦りと混乱の中で、PDFテキストを開く
登記記録を何度見返しても、敷地権に関する記載は見当たらない。
正直、このときは少しパニックになっていました。
「まさか、この登記、何かおかしいんじゃ……?」
そんな不安が頭をよぎったとき、司法書士試験の時に利用していた、小泉司法書士予備校の不動産登記法のテキスト(PDF)があることを思い出しました。

急いでパソコンを開き、捨てずに残していた不動産登記法の資料をチェック。
そこには「敷地権の表示」という見出しと、記載がある場合とない場合の例が並んでいました。
「えっ……記載がないということは、もしかして……?」

ついに気づく。「敷地権がない(一体化していない)区分建物」だった!
そのとき、ようやく現実を受け止めることができました。
「そうか……この建物には敷地権がついてないんだ。」

試験では一応勉強していたものの、正直「例外的な話」として流していた知識。
それが今、目の前の自宅の登記で現実のものとして立ち現れたのです。
「なるほど、こういうことだったのか……」
モヤモヤがスッと晴れ、ようやく落ち着いて登記記録を見られるようになりました。

ほっとひと安心、と思ったのも束の間…
疑問が解消された私は、「これで申請書が書ける」と、ひとまず胸をなで下ろしました。
しかし、安堵も束の間。
申請書の内容をさらに詰めていくうちに、
また新たな問題が浮上してきたのです。
「まさか、こんなところに落とし穴が……?」

次回、第4話では、その“さらなる壁”について詳しくお話しします。
(第4話へ続く)