昨日司法書士試験に最終合格いたしました。
これで晴れて司法書士有資格者となります。
ただ、本試験後はほとんど試験勉強をしていなかったため、知識がいろいろと抜けています。
そこで知識の再確認の意味も込めて、抵当権の登記について記事を書くことにしました。
記事が口語調になっているのは、記事の読みやすさを考慮したためです。ご理解ください。
抵当権設定登記(よくあるパターン)
雛形はこんな感じですよね。
登記の目的 抵当権設定
原因 令和6年11月5日金銭消費貸借令和6年11月8日設定
債権額 金1000万円
利息 年2%
損害金 年14%
債務者 東京都港区○○一丁目1番1号 A
抵当権者 株式会社 B銀行(取扱店 六本木支店)
(会社法人等番号1234-56-789012)
代表取締役 C
設定者 東京都港区○○一丁目1番1号 A
添付情報 登記原因証明情報
登記識別情報
印鑑証明書
代理権限証明情報
会社法人等番号
課税価格 金1000万円
登録免許税 金4万円
絶対的記載事項と相対的記載事項
抵当権設定登記において債権額・債務者(氏名・住所)は絶対的記載事項とされています。
一方で、利息・損害金・特約などは任意的記載事項とされています。
任意的記載事項の場合は、その定めがある場合にのみ登記すれば大丈夫です。
利息の設定について
司法書士試験の勉強をするとき、抵当権設定登記の雛形は、利息○○%という感じのものが非常に多いです。
抵当権の利息の設定には、単に「利息3%」とするものから、「利息800万円に付年3%、但し令和5年3月15日から年3.2% 金700万円に付年3.2%」といった感じのものもあります。
このような利息の定め方でも、どの程度の利息が発生するかが明確であれば定めることは可能です。
一方で、「利息年3%、ただし、契約に違反したときは、貸付日にさかのぼって5%にする」といった内容の定めは、契約に違反したときという不確定要素があるため、定めることができません。
択一でも時折出ているところです。
添付情報
- 登記識別情報
- これは、設定者(所有権登記名義人)であるAの登記識別情報です
- 印鑑証明情報
- 設定事例では所有権に抵当権設定をする場合なので、この場合はAの印鑑証明情報が必要となります。
- 一方で、地上権・永小作権に抵当権を設定する場合は、設定者の印鑑証明情報は不要となります。
登録免許税
登録免許税は、債権額の1000分の4になります。
不動産の価額の1000分の4ではないことに注意が必要です。
保証人の求償権担保のための抵当権設定登記
登記の目的 抵当権設定
原因 令和6年11月5日保証委託契約による旧称債権同日設定
債権額 金1000万円
利息 年2%
損害金 年14%
債務者 千葉県松戸市○○一丁目1番1号 E
抵当権者 株式会社 D銀行(取扱店 新宿支店)
(会社法人等番号2345-57-890127)
代表取締役 Y
設定者 千葉県松戸市○○一丁目1番1号 E
添付情報 登記原因証明情報
登記識別情報
印鑑証明書
代理権限証明情報
会社法人等番号
課税価格 金2000万円
登録免許税 金8万円
解説
事案としてはX銀行がEに対して、金2000万円を貸し渡し、Eの委託を受けたD銀行が保証人となり、Eに対する求償権担保のため抵当権設定契約を締結したという事例です。
保証委託契約における求償債権というのは、保証人が主たる債務者の債務を全額弁済したことにより確定するため、将来の求償権を担保するため抵当権を設定することができるかという議論も以前はあったようです。
しかし、現在の登記実務では、保証債務の履行を条件として発生する特定の将来の債権であるから、抵当権を設定できるとされています。
求償債権の債権額について
保証委託契約における求償債権については、弁済額・李祖k等の合計額を抵当権の債権額とすることもできますが、主たる債務の債権額と同額をもって抵当権の債権額とすることもできるとされています。
今回の雛形では、主たる債務の債権額と同額をもって抵当権の債権額とするパターンを用いています。
どういう場合に抵当権設定登記がされるのかについて
抵当権設定登記をするのにはいくつかのパターンがあります。
所有権保存登記をしてからの抵当権設定登記
所有権保存登記の場合は新築の建物になるわけですが、この場合は銀行のローンを受けることが一般的です。
そのため、銀行側がローンの返済が終わるまでの間抵当権設定登記をすることになるわけです。
前にあった抵当権を抹消して、所有権を移転してからの抵当権設定登記
これは、今まで住んでいた建物を売る場合です。
ローンが完済していない場合、おそらくその建物には抵当権が付いている場合が多いです。
このまま建物を売ろうとしても、ほとんど売れません。
抵当権設定登記が所有権移転登記より先にされている場合は、その抵当権は対抗力があります。
その場合、たとえお金を払って建物を購入したとしても、抵当権が実行されれば建物を失うことになります。
そのため、建物を売る場合は、所有権移転登記をする前に、売主についていた抵当権を抹消して、所有権を買主に移転することが必要となります。
その後、買主にお金を貸した銀行側が新たに抵当権を設定するわけです。
このパターンは意外に多いです。
所有者は同じで、前に遭った抵当権を抹消して新たに抵当権を設定する場合
このパターンも以外にあります。
理由としては、銀行のローンの利息が変わった場合ですね。
この場合は当然ですが、利息の安いほうに乗り換えますよね。
そして、前に付けた抵当権者のローンを、新たに借り入れた利息の低いローンで支払って、抵当権を抹消したうえで、新しく抵当権設定登記をするわけです。
実は、私は司法書士試験の合格発表の数日前に、宅建の実務講習を受けたのですが、その時も講師の方からこの話を聞きました。
講師の方によると、バブルが崩壊した後に金利が下がった時があり、その時にもこういった登記がよくされていたそうです。
まあ、今でもありますけど…。
不動産というものは非常に奥が深いです。
学べば学ぶだけ色々わかり楽しくなってきている今日この頃です。