令和6年度司法書士試験択一午前の部(第13問から第15問)

今回は令和6年度司法書士試験午前択一の部第13問から第15問までです。

この記事は択一の解説を目的にするものではなく、私が今年の試験でどのように問題を解いたかを説明するものです。

詳細な解説は各予備校が出している解説本をお読みください。

目次

第13問

少しあやふやですが、本番で考えたこと

まず、アについては、抵当権の効力がなくなるというのはないと思いました。「多分存続するな」といった感じです。

試験当時は「そういう判例があったと思う」という感じでした。だから「たぶ間違っているんだろうな」といった感じです。

本試験には正解か不正解かわからない問題がありますが、そういう時はとりあえず△をつけて次に進むことが大事です。

すべての肢の答えがわからなくても正解はできます。

イについては明らかですよね。これは賃借権に効力が及ぶので即座に切れます。

私は全肢を検討するのですが、アから順番にはときません。目に入った問題を適当に解いていくというスタイルです。

この問題ならオはすぐにわかりますよね。これは正解です。

そうなると、答えは、4と5のいずれかなので、アは間違っているという事がわかると思います。

ウとエなのですが、長い肢はあまり読みたくないのですが、よく読むと敷金について書いてあります。

これは有名な判例ですよね。そのため、正解と判断できます。実際の答えも4番です。

配当要求については、「そんなことテキストでも読んだ記憶がないし、あまり詳しくない」という方も多いと思います。

少しでも不安なときは、わかりやすい肢を見つけて答えを探してください!

第14問

少しあやふやですが、本番で考えたこと

まず、アについては正解と判断しました。

次に、イなのですが、これは条文です。

第380条

主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。

ウは確か、過去問で解いた記憶があります。条文もあります。確か、2か月ですよね。

第385条【競売の申立ての通知】

第383条各号に掲げる書面の送付を受けた債権者は、前条第1号の申立てをするときは、同号の期間内に、債務者及び抵当不動産の譲渡人にその旨を通知しなければならない。

エについては、これも条文なのですが、知らなくても直感的に「これはないな」と思うのではないでしょうか?

第390条【抵当不動産の第三取得者による買受け】

抵当不動産の第三取得者は、その競売において買受人となることができる。

オも条文です。ただ、私は過去問か模試でこの問題を解いた記憶があったので「多分正解」という感じで解きました。

第391条【抵当不動産の第三取得者による費用の償還請求】

抵当不動産の第三取得者は、抵当不動産について必要費又は有益費を支出したときは、第196条の区別に従い、抵当不動産の代価から、他の債権者より先にその償還を受けることができる。

出題した側はおそらく条文知識を聞きたかったのだと思います。

でも、正直あまり詳しい条文までは手が回らないですし、本番で記憶が飛ぶこともありますからね…。

そうなっても大丈夫なように過去問はしっかりと説く必要があると思います。

第15問

少しあやふやですが、本番で考えたこと

アについては、模試で見たことがあったので「間違い」と判断しました。

ただ、これは条文があります。

第398条の19【根抵当権の元本の確定請求】

① 根抵当権設定者は、根抵当権の設定の時から3年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時から2週間を経過することによって確定する。

② 根抵当権者は、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時に確定する。

③ 前2項の規定は、担保すべき元本の確定すべき期日の定めがあるときは、適用しない。

でもこの規定は398条の19第3項ですよね…。

「条文はしっかり読め」という試験委員からのメッセージなのでしょうか?

イについては、正解とすぐにわかると思います。これも条文です。

第398条の6【根抵当権の元本確定期日の定め】

① 根抵当権の担保すべき元本については、その確定すべき期日を定め又は変更することができる。

② 第398条の4第2項の規定は、前項の場合について準用する。

③ 第1項の期日は、これを定め又は変更した日から5年以内でなければならない。

④ 第1項の期日の変更についてその変更前の期日より前に登記をしなかったときは、担保すべき元本は、その変更前の期日に確定する。

ウについてですが、本番では「多分そうだろうな」と思って〇にしています。

ただ、これも条文があります。

第398条の15【抵当権の順位の譲渡又は放棄と根抵当権の譲渡又は一部譲渡】

抵当権の順位の譲渡又は放棄を受けた根抵当権者が、その根抵当権の譲渡又は一部譲渡をしたときは、譲受人は、その順位の譲渡又は放棄の利益を受ける。

エは間違っていますよね。これも条文があります。

第398条の14【根抵当権の共有】

① 根抵当権の共有者は、それぞれその債権額の割合に応じて弁済を受ける。ただし、元本の確定前に、これと異なる割合を定め、又はある者が他の者に先立って弁済を受けるべきことを定めたときは、その定めに従う。

② 根抵当権の共有者は、他の共有者の同意を得て、第398条の12第1項の規定によりその権利を譲り渡すことができる。

オについては、解説の必要すらないほど間違っていますよね。この肢を間違えた人はほとんどいないと思います。

第398条の12【根抵当権の譲渡】

① 元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権を譲り渡すことができる。

② 根抵当権者は、その根抵当権を2個の根抵当権に分割して、その一方を前項の規定により譲り渡すことができる。この場合において、その根抵当権を目的とする権利は、譲り渡した根抵当権について消滅する。

③ 前項の規定による譲渡をするには、その根抵当権を目的とする権利を有する者の承諾を得なければならない。

まとめ

この数問を見ると、出題者が民法においてどれだけ条文を重視しているのかよくわかります。

合格した方の中で、「毎日条文を少しずつ読んでいた」という方がいますが、やはりそれが正解なんでしょうね。

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