この間、土地家屋調査士の方の所有者不明土地に関する話を聞く機会がありました。
現在、日本では「所有者不明土地」が深刻な社会問題となっています。
この問題は地方の過疎化や高齢化の影響を受け、さまざまな分野に影響を与えています。
私は土地家屋調査士の資格は持っていないのですが、司法書士有資格者として、所有者不明土地問題についてどう関わるかについて真剣に考えさせられました。
所有者不明土地とは?
所有者不明土地とは、法務局の登記簿で所有者が確認できない土地、または所有者が判明しても連絡がつかない土地を指します。
この問題は、特に地方の農地や山林などで顕著で、放置された土地や廃墟のような空き家が目立つ地域もあります。
法務省もこの問題を重視しており、様々な法改正を行っています。
土地の価値の二分化
所有者不明土地の問題の原因の一つに、土地の価値の二極化があります。
都市部や利便性の高い土地は価値が認められ、相続される傾向がありますが、田舎の土地や利用価値の低い土地は相続が敬遠されることが多いです。
その結果、登記が放置され、所有者不明土地が増加しています。
放置された土地がもたらす課題
放置された土地や空き家は、地域社会にさまざまな問題を引き起こします。例えば:
- 木の枝が電柱に引っかかるなどの安全問題
- 廃墟化した建物が周辺の景観や治安に悪影響を与える
こうした問題を解決するため、土地や建物の管理に関する法律が見直されてきました。
法改正と所有者不明土地問題
かつての民法では、「木の根は切れるが枝は切れない」という制限がありました。
私と同じ世代の方の中には、我妻栄先生の「民法案内」の、隣の家から自宅の庭に生えてきたタケノコを採るのは大丈夫だけど、枝が自宅の庭に伸びてきたときには、枝を切ることができないといった話を覚えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、所有者不明土地に由来する問題が深刻化する中で、一定の場合に木の枝の切断が可能となる法改正が行われました。
あの有名な「民法案内」の話はとうとう通用しなくなったわけです。
このように、所有者不明土地問題は民法や関連法律の改正を促しています。
境界確定の重要性と制度的課題
所有者不明土地が隣接する場合、土地の境界を確定しなければならない場面が多くあります。
相続するつもりのない土地がある場合、相続土地国庫帰属制度を利用することが考えられます。
しかし、この制度は、相続者が土地を放棄し、国に引き渡すことを可能にするものですが、境界問題が解決していないと手続きが進められないのです。
所有者不明となる土地の事例
所有者不明土地のケースは多様です。たとえば:
- 連絡の取れない所有者(電話に出ない、転居先が不明)
- 相続が未了の土地(法定相続人が多数いる場合や、相続放棄が相次いだ場合)
- 登記が古いままの土地(明治時代から変更がない土地など)
こうした場合、関係者との連絡や確認作業は非常に手間がかかり、調査が大きな負担となります。
実務上の制度と課題
土地の管理や相続に関わる制度としては、不在者財産管理制度や相続財産管理制度といったものもあります。
しかし、これらの制度を利用するには予納金が必要であり、手続きも複雑です。
国が注力する所有者不明土地対策
相続登記の義務化や、国外に居住する所有者の氏名・住所を登記簿に記載することが義務付けられるなど、法改正が進んでいます。
国は、所有者不明土地の問題が地方創生や社会インフラに影響を与える深刻な課題であると認識しており、積極的に対策を講じてると言っていいと思います。
まとめ
私は現在12月からの司法書士会の研修の開始を待つ司法書士有資格者ですが、来年には司法書士登録をする予定でいます。
その場合、こういった所有者不明土地の問題に直面する機会もあると思います。
そうなった時に、依頼者からの相談にきちんと対応するためには日々の勉強が欠かせないと思います。
まだまだ修行中のみですが、しっかりと勉強して、社会の役に立つ実務家になりたいと思っています。