最近、「置き配」を巡る盗難被害が増加しているとの記事を目にしました。
https://dot.asahi.com/articles/-/241630?page=1
非対面で荷物を受け取れる便利な仕組みですが、盗難リスクも大きな課題です。
しかし、この問題は単なる「盗難被害」だけではありません。
背景には、宅配業者の労働環境や利用者の多様な生活スタイルといった複雑な事情が絡んでいます。
この記事では、私自身の宅配業界で事務をしていた経験を踏まえ、置き配の課題と解決策を幅広く考察します。
1. 置き配が注目される理由:感染症対策と再配達の負担軽減
置き配が広く普及した背景には、新型コロナウイルス感染症の影響があります。
対面での接触を減らす方法として、多くの消費者に受け入れられました。
また、置き配には再配達の削減により、宅配業者の負担を軽減する効果もあります。
実際、宅配業者の多くは人手不足に直面しており、一度の配達で確実に荷物を受け取ってもらえる置き配は非常に効果的です。
しかし、こうした利便性の反面、盗難リスクの問題が浮上しています。
2. 増える置き配盗難被害:事例と現状
たとえば、ガスメーターボックス内に指定した荷物が盗まれたケースや、購入者が置き配指定したフリマ商品が届かないという事例が報告されています。
正直これなどは昔、宅配業界で事務をしていた私からすると信じがたいです。
当時はガスメーターボックスはお客様から『起きていってください』と言われたときに、安全な場所として挙げられていましたので…。
それほど、注意が必要な状況になりつつあるのだと思います。
置き配盗難の相談件数は増加の一途をたどっているにもかかわらず、補償されたのはわずか2%弱程度であり、多くの被害者が泣き寝入りの状態にあります。
3. 置き配盗難が引き起こすさらなる問題
置き配の盗難被害は、単に荷物が失われるだけでなく、通販サイトやフリマアプリの利用者同士の信頼関係にも影響します。
受け取れなかった購入者、そして対応に困る販売者。
こうしたトラブルが発生すれば、置き配を利用する心理的ハードルが上がり、利便性が損なわれる可能性があります。
4. 宅配業者の労働環境との関連性
私が宅配業界で事務の仕事をしていた際、「指定した時間に帰れないので、荷物を置いていってほしい」とお願いされることが多々ありました。
再配達が続けば、配達員の業務量が増え、労働時間の長期化につながります。
現在、労働環境の改善が求められる中で、置き配は業者にとって必要不可欠な選択肢ともいえるのです。
一方で、利用者にも様々な事情があります。
子供を保育園に迎えに行ったところ、予想以上に時間がかかり指定した時間に戻れなくなってしまった方、夜の配達時間を指定していたのに、残業で戻れなくなる方など、みな様々な事情を抱えています。
このように、宅配業者と利用者の間にはお互いの事情が絡み合っているのです。
5. 置き配盗難を防ぐための工夫と社会的取り組み
(1)見つかりにくい場所の選定
私が事務に携わっていた頃は、「荷物を置く場所」を慎重に選ぶことを心がけていました。
といっても、もはやガスメーターボックスは安全な場所ではありませんが…。
最近は玄関先に無防備に置かれるケースがあったりします。やはりこれは危険です。
他人の目に触れない場所に置くようにすることで、盗難リスクは軽減できます。
(2)宅配ボックスや共同施設の利用
古いマンションや一軒家では宅配ボックスがない場合が多いですが、アマゾンなどが街中に設置する宅配ロッカーの普及は、軽い荷物であれば、仕事帰りに持って帰ることができるので、この問題の解決に役立つと思います。
駅前やコンビニなど、利用者がアクセスしやすい場所にボックスを増やすことが求められます。
6. 置き配の未来:利便性と安全性のバランスを目指して
置き配は、利用者と宅配業者双方にとって欠かせない仕組みとなりつつあります。
しかし、盗難被害が増えるとその信頼性が揺らいでしまいます。
単なる「盗難対策」にとどまらず、利用者、業者、そして社会全体が協力し、利便性と安全性の両立を目指す必要があります。
日本の宅配事業を安全で安心なものにするために、様々な方策を企業や行政が考える必要があると思います。
7.結論
置き配の盗難問題を考えることは、単なる「盗難対策」ではありません。
利便性、安全性、そして業者の労働環境までを含む幅広い課題です。
かつて、物流業界で事務の仕事をしていた者として、この置き配の盗難の問題が少しでも減少することを願ってやみません。