「戸籍の附票(ふひょう)」という言葉を初めて耳にした方も多いのではないでしょうか。
お恥ずかしいのですが、私も司法書士試験に合格するまで、戸籍の附票についてはあまりよく知りませんでした。
戸籍の附票について調べた方の多くは、相続手続きや不動産の売買手続きを体験された方ではないでしょうか?
そういった体験もない場合、司法書士から「戸籍の附票を用意してください」といわれても、「どうして?戸籍の附票って何?」となってしまうと思います。
この記事では、戸籍の附票とはどのような書類なのか、どこで取得できるのか、住民票との違いなど、よくある疑問を司法書士栗栖英俊がわかりやすく解説いたします。
相続に関連する手続きのご依頼をご検討の方にも、ぜひご一読いただきたければと思います。
戸籍の附票とは?どんな情報が載っているの?
戸籍の附票とは、本籍地の市区町村が管理している「住所の履歴を記録した書類」です。
おそらくこれを聞いて「そうだったのか!」とすぐに即答される方はあまり多くないと思います。
わかりやすく説明すると、戸籍には住所が記載されていません。
そのため、登記簿上の住所と戸籍上の住所が異なる場合「この人本人なの?」という疑問が生じる場合があります。
それを補う役割を果たすのが戸籍の附票です。
戸籍の附票には、戸籍上の人物がいつ・どこに住んでいたかが記載されています。
戸籍の附票に記載された住所と登記簿上の住所が一致しているかを確認することで、その人が登記簿上に記載されている本人であるかを確認することができるのです。
戸籍の附票には、以下のような情報等が記載されます:
- 氏名
- 住所の変遷(転居した履歴)
- 記載日(住民異動の日付)
- 生年月日(自治体による)
以下は、札幌市役所のページに掲載されていた見本です。ご覧ください。

この見本では太郎さんと花子さんの住所の移転の変遷が分かると思います。
私も自分の戸籍の附票を見たことがあるのですが、住民票を移した住所がすべて記載されていました。
ちなみに、戸籍の附票についてですが、戸籍の附票は、戸籍内の全ての方が消除されると戸籍の附票の除票となります。
また、法令が改正され令和元年6月20日より、保存期間が5年間から、150年間になりました。
それ以前の保存期間の経過した戸籍の附票については発行することができないとされています。ここは注意が必要です。
詳しくは、請求先の区役所等にお問い合わせください。
戸籍の附票はどこで取得できる?
戸籍の附票は、本籍地のある市区町村役場で取得できます。
私は文京区が本籍地のため、文京シビックセンターに行って戸籍の附票を取得してきました。
本籍地が、現在の住所地と異なることは多いと思います。そのような方のために、戸籍の附票の取得方法を示しておきます。
取得方法
- 本籍地の役所の窓口で申請
- 郵送による申請
- 一部の自治体では、オンライン申請や電子申請に対応(マイナンバーカード利用)
※2025年4月現在、コンビニ交付には対応していない自治体が多い点にご注意ください。
必要なもの
- 本人確認書類(免許証・マイナンバーカードなど)
- 手数料(300円前後/1通)
- 代理人が取得する場合は委任状が必要なこともあります
誰が戸籍の附票を取得できる?相続人でも取得可能?
戸籍の附票の請求権者は以下の通りです。
- 本人
- 同一戸籍に記載されている方
- 直系尊属(父母または祖父母)
- 直系卑属(子または孫)
- 代理人(委任状が必要です)
以下のようなケースでは、戸籍の附票を本人以外の方が取得することが可能です。
- 相続登記を行うために、被相続人の住所を証明する必要がある
- 銀行口座解約の際、本人確認として住所履歴の証明が求められている
このような場合、請求書に理由を明記し、必要な資料を添えて申請することで取得が認められるケースが多いです。
また、司法書士などの専門家にご依頼いただければ、職務上請求書による取得も可能です。
戸籍の附票と住民票の違いとは?どちらが相続に必要?
戸籍の附票と住民票は、いずれも住所に関する情報が記載されています。
ただ、住民票は一つ前の住所は記載されているけど、それ以上前の住所は記載されません。
住所の変遷を見たい場合、一度しか住所が変わっていないのであれば、住民票で大丈夫なのですが、それ以前の住所を調べる場合には戸籍の附票が必要になります。
百聞は一見に如かずといいます。
住民票の記載例です。これは名古屋市名東区のページにあったものです。

従前の住所が掲載されています。しかし、この従前の住所は直前のものしか掲載されません。
戸籍の附票の場合は、これより前のものも掲載されます。
そこが、住民票と戸籍の附票の違うところです。
相続登記に必要な戸籍の附票、専門家に任せて安心
被相続人の死亡に伴う不動産の名義変更(相続登記)では、戸籍の附票が必要となることが多く、また他にもさまざまな書類を揃える必要があります。
住所変更の履歴が複数ある方や、長期間住民票を移していなかった方の手続きでは、附票の保存期間切れによって手続きが困難になるケースもあります。
栗栖司法書士行政書士事務所では、
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