はじめての相続税|基礎控除・法定相続人の数え方・2割加算・計算の流れ・関連手続きまで

実は、この間の日曜日にCFPの相続・事業承継の試験を受けていました。

結果は…。1か月後にわかります…。

本当は「リスクと保険」「タックスプランニング」も受験予定だったのですが、勉強が間に合いませんでした。

何とか全科目合格、そして、FP1級に合格したいものです。

今回は、CFP試験の勉強の経験を生かして(私はFP2級を持っておりAFP登録をしています)、相続税の一般的な話をしたいと思います。

相続のご相談でよくいただく質問の一つが、
「相続税はいくらかかるのか?」
というものです。

実際に財産を取得するとなると、
「税金で持っていかれそう…」
「税理士に相談すべき?」
と不安になる方も多いはずです。

司法書士は相続税の計算や申告はできませんが、
ここでは “一般的な相続税の考え方” をわかりやすくまとめます。

目次

1. 相続税がかかるかどうかは「基礎控除額」が目安

相続税には、一定額まで非課税となる「基礎控除額」があります。

● 基礎控除額

3,000万円 + 法定相続人の数 × 600万円

この金額を超える財産を取得した場合に、相続税申告が必要になる可能性があります。

2. 法定相続人の数はどう判断する?(計算方法つき)

基礎控除額を正しく出すには、法定相続人の人数を正確に数えることが大切です。

● 法定相続人を数える基本(優先順位)

  1. 配偶者(常に相続人)
  2. 子(直系卑属)
  3. 父母(直系尊属) 子がいないとき
  4. 兄弟姉妹 子も父母もいないとき

実際に相続するかどうかではなく、
“民法上の相続人”を人数としてカウントします。

● 人数計算の注意点

✔ 相続放棄した人も人数に入れる

基礎控除の計算では、
相続放棄した人も法定相続人としてカウントします。

例)配偶者+子2人のうち1人が放棄 → 法定相続人は3人のまま

✔ 養子は基礎控除に含める人数に制限がある

一般的には次のように扱われます。

  • 実子がいる場合 → 普通養子は1人まで
  • 実子がいない場合 → 普通養子は2人まで
  • 特別養子は実子と同じ扱い(人数制限なし)

✔ 代襲相続の孫は「子」と同じ扱いで数える

子が先に亡くなっている場合、孫が相続する(代襲相続)。
その孫は子と同等に扱われ、人数にも入れます。

ケース別:法定相続人の人数と基礎控除額

① 配偶者+子2人

法定相続人=3人
→ 基礎控除 = 3,000万+600万×3 = 4,800万円

② 配偶者+実子1人+普通養子2人

養子は1人までしか数えられないため
法定相続人=配偶者(例)+実子1+養子1=3人
→ 基礎控除 = 4,800万円

③ 配偶者+子2人の場合で子供1人が相続放棄

人数は減らない
→ 法定相続人=3人
→ 基礎控除=4,800万円

④ 配偶者なし・子なし・父母が健在

法定相続人=父母2人
→ 基礎控除=4,200万円

3. 相続税はこうやって計算する(一般的な流れ)

相続税の計算は複雑ですが、流れを知っておくだけで理解しやすくなります。

ここでは一般的な計算の方法を記しておきますが、詳細を知りたいからは国税庁のサイトで確認してください。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm

① 各財産の評価額を出し、課税価格の合計額を算出

土地・建物・預金・有価証券、生命保険の一部、死亡退職金などを評価。
債務や葬式費用を控除します。

② 基礎控除額を差し引く

課税遺産総額=課税価格の合計額 − 基礎控除額

③ 法定相続分に基づき「仮の取得金額」を計算

実際の分割内容ではなく、
法律に定められた割合で取得したと仮定して計算します。

④ 仮の取得金額に税率をかけ、相続人ごとの税額を算出

税率(10〜55%)を当てはめて、各人の“仮の相続税額”を求めます。

国税庁の相続税の速算表では税率は以下の通りとなっています(令和7年4月1日現在法令等)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
1,000万円超から3,000万円以下15%50万円
3,000万円超から5,000万円以下20%200万円
5,000万円超から1億円以下30%700万円
1億円超から2億円以下40%1,700万円
2億円超から3億円以下45%2,700万円
3億円超から6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

⑤ 各人の税額を合計し、相続税の総額が決まる

これで相続税の総額が確定します。

⑥ 実際の遺産分割に合わせ、各人の負担額を再調整

実際の取得額に応じて、最終的な税額を配分します。

4. 誰が相続するかで税額が変わる「2割加算」

法定相続分とは別に、
一部の相続人は相続税額が20%増額されるという仕組みがあります。

● 2割加算

● 加算されない人

  • 配偶者
  • 被相続人の1親等の血族(子又は父母)
  • 代襲相続となった被相続人の直系卑属(孫やひ孫など)

●加算される人

具体的には、兄弟姉妹やその子、代襲相続人以外の孫などが2割加算の対象となります

また、

  • 1親等の血族の代襲相続人が相続放棄した場合は、相続人でなくなるので2割加算の対象となります
  • 被相続人の養子となった孫(代襲相続人を除く)も、2割加算の対象です(ここはCFP試験の過去問によく出ていました)

これも詳しく知りたい方は、国税庁のサイトでご確認ください。https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4157.htm

5. 3年以内に相続財産を売却した場合の「取得費加算」

相続税の相談でよく聞かれるのが、
相続税申告期限の翌日から3年以内に不動産などを売却した場合です。

● 取得費加算の仕組み(一般的な概要)

相続した財産を売却した際、
支払った相続税の一部を取得費に加算できるため、
売却益が減り、譲渡所得税を抑える効果があります。

売却の予定がある場合は、必ず税理士へ相談しましょう。

6. 相続税の申告が必要かどうか

一般的には
・財産が基礎控除額を超える
・特例適用で税額が変わる可能性がある

場合に申告が必要です。

申告期限は相続開始から10か月以内です。

ちなみに、相続税の申告書の提出先は、被相続人の死亡の時における住所が日本国内にある場合は、被相続人の住所地を所轄する税務署です。

相続人の住所地を所轄する税務署ではないのでご注意ください。

より詳しい内容は、以下の国税庁のサイトをご覧ください。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm

7. 相続が発生したときの「準確定申告」も忘れずに

相続が起きた年に、亡くなった方が所得を得ていた場合、
相続人が代わりに確定申告する必要があります。

● 準確定申告とは

亡くなった方の 1月1日〜死亡日までの所得を申告する手続き

● 期限

相続開始を知った日の翌日から4か月以内

相続税の申告よりも期限が早いことがあるため要注意です。

それにしても、国税庁の回し者のような記事になりましたね…。

まとめ

でも、試験勉強の際には、国税庁のサイトには本当にお世話になりました。

他にも役に立つ内容が国税庁のサイトにはたくさんありますので、もし「相続税について知りたい」という方がいら社ればご覧いただければと思います。

相続税は、
・誰が相続人なのか
・どれだけ財産があるのか
・どのように分割するのか
によって大きく変わります。

私は税理士ではないので具体的な計算はできませんが、一般的な制度の説明を通じて、よりよい解決方法を提示することができます。

相続で不安がある場合は、早めにご相談ください。

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