土地の処分の難しさについて

目次

原野商法と、その「二次被害」という問題

かつて「原野商法」と呼ばれる悪質な商法がありました。
若い世代の方には、あまりなじみがないかもしれません。

原野商法とは、値上がりの見込みがほとんどない山林や原野について、実際には存在しない開発計画を持ち出し、「将来必ず値上がりする」などとうその説明をして販売する商法です。
「近くに道路ができる」「リゾート開発が決まっている」などといった甘い言葉で勧誘され、1970年代から1980年代にかけて被害が多発しました。

こうして購入された土地は、実際には二束三文でも売れないものがほとんどです。
そのため、現在に至るまで処分できず、ずっと所有し続けている方も少なくありません。

原野商法の「二次被害」

政府広報オンラインによると、現在問題となっているのが、**原野商法の「二次被害」**です。

これは、過去に原野商法の被害に遭った方に対し、

  • 「あなたの土地を買い取ります」
  • 「処分できますよ」

といった勧誘をきっかけに、巧妙な手口で、売却額よりも高額な別の山林や原野を新たに購入させられるというものです。

土地を抱え続けている方からすれば、「一日も早く処分したい」という思いが強くなります。
その心理につけ込む悪質な業者が存在する、ということなのでしょう。

なぜ「引き取ってもらえない土地」なのか

調べれば調べるほど、こうした土地の問題は根が深いと感じます。

たとえば、市町村に寄付をしようとしても、価値がないとして受け付けてもらえない場合があるといいます。

「なぜ?」と思われるかもしれませんが、理由は比較的シンプルです。

寄付された土地は、その後、市町村が管理することになります。
当然、その管理費用は税金で賄われます。

そうなると、

「なぜ価値のない土地の管理に税金を使うのか」

という住民からのクレームが入ることもあるのだそうです。
すべての自治体が同じ対応をするとは限りませんが、納得できる部分もあります。

相続土地国庫帰属制度も万能ではない

では、「相続土地国庫帰属制度を使えばいいのでは?」と思われるかもしれません。

しかし、以前の記事でも書いたとおり、この制度には明確な利用要件があります。

引き取ることができない土地(却下事由)

  • 建物がある土地
  • 担保権や使用収益権が設定されている土地
  • 他人の利用が予定されている土地
  • 土壌汚染されている土地
  • 境界が不明確な土地、所有権の存否や範囲に争いがある土地

承認を受けられない土地(不承認事由)

  • 管理に過分な費用・労力がかかる崖地
  • 地上や地下に、管理・処分を妨げる有体物がある土地
  • 隣地所有者との争訟を経なければ処分できない土地
  • その他、通常の管理・処分に過分な費用・労力を要する土地

この制度では、審査料として14,000円が必要ですが、要件に該当しなければ、その費用は戻ってきません。

長年放置された土地では、草木が生い茂り、境界が分からなくなっていることもあります。
そうなると、「管理に費用がかかる土地」と判断されてしまう可能性が高くなります。

原野商法の二次被害は、まさにこうした事情を狙っているのではないかと感じます。

専門家として感じる難しさ

もちろん、すべての業者が悪質だと決めつけることはできません。
実際に、誠実に対応している業者も存在するでしょう。

また、原野商法の二次被害は、件数自体は減少しているとも言われています。
しかし一方で、一件あたりの支払金額は増大しているとのことです。

他人の「困りごと」に付け込む――
残念ながら、こうした構図はどの分野にも存在します。

私は司法書士として、不動産については専門家とされる立場にあります。
それでも、この問題について「こうすれば必ず解決する」と簡単に言えるものではありません。

相続を中心に仕事をしていると、
「世の中には本当にいろいろな事情を抱えた不動産がある」
ということを、日々思い知らされます。

本当に、大変な問題だと思います。

目次