相続の手続きを始めようとする際、多くのお客様が「相続人は妻と子供2人の計3人です」あるいは「私は一人っ子で両親も亡くなっているので、相続人は私だけです」と、自信を持って仰います。
もちろん、ご家族として過ごしてきた歳月を考えれば、その認識に疑いを持つ余地などないはずです。しかし、私たち司法書士が業務として相続登記や預貯金の名義変更を承る際、その「自信」だけで手続きを進めることは法律上許されません。
なぜなら、「家族が知っている事実」と「戸籍に記載されている事実」が、必ずしも一致するとは限らないからです。
今回は、相続人の数を見誤ることで発生するリスクと、なぜ「生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍」が必要なのかについて、実例を交えて解説します。
1. 「知らなかった」では済まされない、家族の隠れた歴史
相談者の方が「相続人は〇人です」と断言される場合でも、戸籍を遡って調査すると、予想だにしなかった事実が判明することがあります。
父に離婚歴があり、前妻との間に子供がいた
もっとも多いケースの一つです。今の母親と結婚する前に離婚歴があり、その時の子供(異母兄弟)が存在する場合です。長年音信不通であったとしても、その子供は法律上の第一順位の相続人です。その方を除外して遺産分割協議を行っても、それは法的に無効となります。
認知している子供がいた
婚姻関係にない相手との間に子供がおり、その子を「認知」していた場合です。認知された子は、嫡出子(結婚している夫婦の間に生まれた子)と全く同等の相続権を持ちます。家族には一生隠し通すつもりだった秘密が、死後の戸籍調査によって白日の下にさらされるのです。
2. 兄弟相続(第三順位)で陥る「代襲相続」の複雑な迷宮
お子様がいらっしゃらない方の相続(兄弟姉妹が相続人になるケース)は、さらに難易度が跳ね上がります。
「兄は既に亡くなっているし、独身だったので、相続人は弟の私だけだ」 そう思われる方が多いのですが、ここにも落とし穴があります。
甥・姪以外の相続人がいる可能性
兄弟姉妹が先に亡くなっている場合、その子供(甥・姪)が「代襲相続人」となります。ここまでは一般的によく知られていますが、問題はその「兄弟」に、先ほど述べたような「離婚歴」や「隠し子(認知)」があった場合です。 あなたの知らない「会ったこともない甥や姪」が、法律上立派な相続権を持って現れる可能性があるのです。
養子縁組の存在
亡くなった兄弟が、生前に誰かと養子縁組をしていれば、その養子が優先的な相続人になります。親戚付き合いが希薄になっている現代では、こうした身分関係の変化を把握しきれていないことが多々あります。
3. なぜ「生まれてから死ぬまで」の戸籍が必要なのか?
銀行や法務局で「亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本」を求められ、その膨大な量に驚かれた方も多いでしょう。
実は、現在の戸籍(コンピュータ化されたもの)には、「過去に除籍された人(離婚した配偶者や、先に亡くなった子供、認知した子供)」の情報が記載されないという仕組みになっています。
- 現在の戸籍: 今現在の家族構成のみ。
- 改製原戸籍・除籍謄本: 過去の結婚、離婚、子供の誕生、認知、養子縁組の履歴。
これらをパズルのように繋ぎ合わせ、1ミリの隙間もなく「他に子供がいないこと」を証明しなければ、相続手続きの土台となる「相続人の確定」は完了しません。
4. 早合点が招く「取り返しのつかない」事態
もし、相続人を一人でも欠いたまま遺産分割を進めてしまったらどうなるでしょうか。
- 手続きのやり直し: 苦労してまとめた遺産分割協議書がすべて無効になります。
- 感情的な対立: 突然現れた「知らない相続人」に対し、既に使ってしまった遺産の返還を求められたり、高額な代償金を請求されたりするトラブルに発展します。
- 預金の凍結解除ができない: 銀行は戸籍が完全に揃わない限り、1円も払い戻しに応じません。
結びに:専門家による「戸籍調査」のススメ
相続人の調査は、単なる書類集めではありません。古い手書きの戸籍(縦書きで達筆なもの)を読み解き、全国の役所から漏れなく収集するには、膨大な時間と専門知識を要します。
当事務所では、司法書士・行政書士として、この複雑な戸籍調査を迅速かつ正確に代行いたします。 「うちは単純だから大丈夫」と思っている方にこそ、万が一のトラブルを未然に防ぐため、まずは確かな調査をお勧めしています。
「本当の相続人は誰なのか?」 その確証を得ることで、初めて安心した相続手続きが始まります。
相続登記に伴う相続調査・遺産分割のご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。 複雑な戸籍の読み解きから、親族への連絡、名義変更まで一括でお手伝いいたします。
当事務所の強み:
職権による迅速な戸籍収集(全国対応)
複雑な代襲相続・数次相続への深い知見
争いを未然に防ぐ、中立・公正なアドバイス
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