(この記事は、2025年7月21日に更新しました)
(この記事は、2025年7月21日に更新しました)
今回は、会社の設立について必要な書面について、申請書の記載事項などと兼ねて説明していきたいと思います。
会社設立手続について「こんなもの俺が自分でやればいい」という方もいると思います。
ただ、経営者の方は、定款作成や設立登記など以外にも、販路拡大や人脈づくりなど様々なことをしなければいけません。
「面倒なことは専門家に任せて、やるべきことに集中したい」とお考えの方は、ぜひこの記事をお読みいただければと思います(そして、当事務所にご依頼いただければと思います)。
設立登記において申請書に記載すべき事由
株式会社の登記の申請書については、次の事項を記載し、申請人の代表者又はその代理人が記名押印することとされています(商業登記法17条2項)。
- 申請人の氏名及び住所、申請人が会社であるときは、その商号及び本店並びに代表者の氏名又は名称及び住所(当該代表者が法人である場合にあつては、その職務を行うべき者の氏名及び住所を含む。)
- 代理人によつて申請するときは、その氏名及び住所
- 登記の事由
- 登記すべき事項
- 登記すべき事項につき官庁の許可を要するときは、許可書の到達した年月日
- 登録免許税の額及びこれにつき課税標準の金額があるときは、その金額
- 年月日
- 登記所の表示
本店所在地における登記申請書の例
法務局のホームページを見ると、設立におけるいくつかの申請書の例があります。
私のページでは私が請け負うことが予想される非公開会社の取締役会非設置会社を想定していますが、それ以外の設立登記については、法務局のページを参照することをお勧めします。
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html#anchor1-1
非公開会社の取締役会非設置会社の本店所在地における登記申請書についてはこんな感じです。
商号 ABC株式会社
本店 千葉県松戸市松戸〇丁目〇番地〇号
登記の事由 令和7年7月18日発起設立の手続き終了
登記すべき事項 別紙のとおり
課税標準金額 金100万円(資本金の額)
登録免許税 金15万円
添付書類 定款 1通
発起人の同意書 1通
発起人の議決権の過半数の一致があったことを証する書面 1通
就任承諾書 3通
本人確認証明書 1通
印鑑証明書 2通
払い込みがあったことを証する書面 1通
(資本金の額の計上に関する証明書 1通)
(設立時取締役及び設立時監査役の調査報告書 1通)
委任状 1通
上記の通り登記の申請をする。
令和7年7月21日
(以下省略)
「発起手続きの終了」については、おそらく疑問に思われる方がいると思うので説明します。
この「発起手続きの終了」の日は、記載する日付は、次のうち遅いほうの日付です。
- 資本金の払込みが完了した日(取締役がおこなう出資の履行調査が終了した日)
- 公証人によって定款が認証された日
登記申請日ではありません。
添付書面の解説
定款
まず定款ですが、定款は公証人の認証を受けたものでなければなりません。
定款が電子認証の場合は、電子認証が必要となります。
発起人全員の同意書
発起人全員の同意書ですが、以下の事項については法律上、発起人全員の同意があることが必要なため添付することが必要となります。
- 設立時発行株式に関する次の事項の決定(会社法32条)
- 発起人が割当を受ける設立時発行株式の数
- 引き換えに払い込む金銭の額
- 会社に出資された財産の額の一部を資本金としない場合には、成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項
- 種類株式発行会社において、定款に株式の内容の要綱を定めた場合には、その具体的内容
- 発行可能株式総数
募集株式の場合には、設立時募集株式に関する事項の決定(会社法58条)も必要なのですが、この記事で想定しているのは非公開会社で取締役会非設置会社という極めて小規模の会社を想定しているためその点については書きません。
発起人の議決権の過半数の一致があったことを証する書面
設立時取締役及び設立時監査役の選任には、発起人の議決権の過半数の一致が必要なので、かかる事項を証明するために必要となります。
就任承諾書
非公開会社で取締役会非設置会社の場合は、設立時取締役及び設立時監査役の就任承諾書が必要となります。
印鑑証明書
非公開会社で取締役会非設置会社の場合は、設立時取締役の就任承諾書に、市区町村長の作成した印鑑証明書が必要となります(商業登記規則61条4項)。
本人確認証明書
設立時取締役及び設立時監査役に要求されます(商業登記規則61条7項)。
設立時取締役が印鑑証明書を提出している場合は不要となります(商業登記規則61条7項但書)。
その場合は、設立時監査役の本人確認証明書のみで足ります。
払い込みがあったことを証する書面
具体的には以下のものが該当します。
- 払込取扱期間の作成した払込金受入証明書
- 設立時代表取締役の作成にかかわる払込取扱期間に払い込まれた金額を証明する書面に、次の書面のいずれかを合鐵したもの(条文には設立時執行役の場合も記載されているがここでは省略)。
- 払込取扱機関における口座の預金通帳の写し
- 取引明細書その他の払込取扱機関が作成した書面
ここに上げた書面について注意していただきたいのが、会社設立の際に必要な書面として有効なものは、あくまで「払込を証する書面」だということです。
払込金額と同じ金額の残高があることを証明する預金通帳などをもってきても、払込を証する書面とは認められません。
ここを間違えると大変なことになるので、注意してください。
金銭の払込みがあったことが、明確にわかるものであることが必要です!!!
資本金の額の計上に関する証明書
これは金銭のみの出資の場合は設立段階では省略できます。
もっとも現物出資があった場合は、資本金の額の計上に関する証明書を省略することはできません。
設立時取締役及び設立時監査役の調査報告書
定款に変態設立事項の記載があった場合で、検査役が選任されていない場合に必要となる場合があります。
金銭のみの出資の場合は、かかる調査報告書は不要となります。
ここまでお読みいただくと「印鑑証明書などは別として、自分たちで必要な書面をこんなに作成する必要があるの?」と思われる方もいると思います。
しかし、ご安心ください!
当事務所では、会社設立に必要な書面のテンプレートを多数ご用意しています。
もし、「書面を自分たちで作成するのが面倒」という場合は、ぜひ当事務所にその旨ご相談いただければと思います。
設立する会社の内容に合わせたテンプレートを準備させていただきます!
登録免許税
登録免許税は資本金の額に1000分の7をかけた額になります。
もっとも、かかる金額が金15万円にみたない場合は、金15万円が登録免許税となります。
外国の方が会社設立をする場合の注意点
最近、「日本で起業をしたい」という外国人の方が増えています。
しっかりとした目的をもって、日本で起業されることは、日本経済の活性化にも繋がりますし、非常に歓迎すべきことだと思います。
ただ、その場合に注意していただきたいことがあります。
それは「銀行口座の開設」についてです!
日本に長い間居住している方の場合と異なり、日本での生活をしたことのない外国の方がいきなり銀行に行って「口座を開設したい」と言っても断られることが多いというのが現実です。
この場合におすすめなのが、日本国内に銀行口座を開設できる共同経営者を探すということです。
現在、代表取締役の全員が海外に居住していても、日本において会社の設立登記を申請することができます
ただ、現実問題として、設立に際し、すべて外国在住の方のみで設立をすることは非常に難しいです。
このような場合の設立手続きについては、法務省のページが詳しいのでぜひご覧いただければと思います。
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00104.html
一部を引用させていただくと、発起人及び設立時取締役の全員が日本国内に住所を有していない場合に限り、発起人及び設立時取締役以外の者(自然人に限られず、法人も含みます。以下「第三者」といいます。)であっても、預金通帳の口座名義人として認められます(平成29年3月17日民商第41号通達)。
この際に、払込みがあったことを証する書面として、第三者が口座名義人である預金通帳の写しを添付する場合には、「発起人が第三者に対して払込金の受領権限を委任したことを明らかにする書面(委任状)」を併せて添付する必要があります。(ここまで法務省のページより引用)。
会社設立において銀行口座の開設は極めて重要です!銀行口座が解説できなければ、会社設立自体ができなくなります!
この点をしっかりと理解していただきたいと思います!
また、外国の方が、日本で起業をしたい(子会社を設立したい)という場合、定款作成に際して、私は「目的を明確にするように」とおすすめしています。
目的が明確でないと「この人何をしたいの?」と思われてしまい、「なんか怪しい人なんじゃないの?」と思われる場合があります。
そう思われないためにも、定款作成の際には、目的を明確にするようにしていただければと思います。
外国の方が、日本で起業する場合の注意点は、また、別の記事で述べたいと思います。
今回はここまでにします。
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