一般社団法人の設立手続き【司法書士行政書士がやさしく解説】

目次

1. 一般社団法人とは

  • 非営利型の法人形態(利益の分配は不可)。
  • 目的に合えば営利事業も可能(得た利益は法人の目的達成に充当)。
  • NPO法人より要件がシンプルで、スピーディーに設立しやすいのが特徴です。

2. 設立の流れ(全体像)

  1. 基本事項の決定
    目的/名称(同一・類似の事前チェック)/主たる事務所/事業年度/公告方法 など
  2. 設立時社員(会員)を決定(2名以上)
    社員名簿の骨子を作り、入会・会費の取り扱い方針も検討。
  3. 定款の作成
    必須記載事項+任意記載事項を整備。
  4. 設立時役員(理事・監事)の選任
  5. 公証役場で定款認証(電子定款だと印紙代0円)
  6. 設立登記の申請(法務局)
    申請日が法人の成立日になります。
  7. 登記完了後の諸手続き
    口座開設/税務署・都道府県・市区町村への届出/必要な許認可 など

3. 必要となる人(人数・役割・任期)

設立時社員:2名以上(個人・法人いずれも可)

理事:1名以上
任期:2年(延長不可。短縮は可

(理事の任期)
第六十六条 理事の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までとする。ただし、定款又は社員総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。

理事が1名のみの場合、その理事が自動的に代表理事になります。
理事が複数いる場合、特定の1名を代表理事に選任できます(社員総会または理事の互選等、定款の定めによる)。

監事:任意設置
任期:4年(延長不可。2年まで短縮可

(監事の任期)
第六十七条 監事の任期は、選任後四年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までとする。ただし、定款によって、その任期を選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までとすることを限度として短縮することを妨げない。

4. 設立時役員の選任(2パターン)

パターンA:定款作成前に決定し、定款に記載しておく

「設立時理事」「設立時監事」を定款に記載。

定款認証→そのまま登記手続へ進めるため、手続がスムーズ。

通常は定款の附則に以下のように記載します。

この法人の設立時の役員は、次のとおりとする。

設立時理事 山田太郎 山本花子 田中一郎

設立時代表理事 山田太郎

パターンB:定款に記載せず、認証後に臨時社員総会で選任

定款認証後、速やかに臨時社員総会を開催して選任。

選任決議をした議事録(書面)が必要です。

決議書

令和○年○月○日

 令和○年○月○日午前○時〇〇分、一般社団法人〇〇事務所において、社員全員出席しその全員の一致の決議により次のとおり設立時理事を決定した

設立時理事 山田太郎 山本花子 田中一郎

(以下省略)

代表理事の選任方法は定款の定め(社員総会決議/理事の互選 等)に従います。

いずれのパターンでも、就任承諾書、(代表理事は)印鑑証明書等の添付が必要になります。

5. 期間の目安(スケジュール感)

  • 企画・ドラフト(基本事項決定~定款案作成):3~7日
  • 公証役場の定款認証:1~3営業日
  • 設立登記の審査・完了:1~2週間
  • 合計:概ね2~4週間(書類準備や公証役場・法務局の混雑で前後)

6. 費用の目安(概算)

区分金額目安
定款認証手数料5万円
定款謄本交付料数千円
登録免許税(設立登記)6万円
司法書士報酬当事務所では6万円~(範囲・難度により)
合計の目安12~20万円台+α

※郵送費、交通費などは別途必要となりますのでご注意ください。

7. 登記申請に必要な主な書類(例)

  • 定款(認証済)
  • 設立時役員の選任に関する書面(定款記載 or 議事録)
  • 設立時理事・監事の就任承諾書
  • 設立時代表理事の就任承諾書印鑑証明書(個人の場合、発行後3か月以内が目安)
  • 本店所在地決議書(定款に市区町村までの記載とし、番地は別決議にする場合)
  • 印鑑届出書(代表者印)
  • 登記申請書
  • 委任状

8. FAQ(よくある質問)

Q1.最低限の人数は?
A.社員(会員)2名以上、理事1名以上で設立できます。監事は任意です。

Q2.理事・監事の任期は?延長できますか?
A.理事は2年、監事は4年が上限です。延長はできません(再任は可)。
理事は短縮可、監事は2年まで短縮可です。

Q3.代表理事はどうやって決まる?
A.理事が1名の場合は自動的に代表理事です。
理事が複数なら、定款の定めに従い特定の1名を代表理事に選任することができます。

Q4.資本金は必要?
A.資本金の制度はありません。活動資金は会費・寄附・事業収益等で賄います(任意の基金制度を設けるケースも)。

Q5.営利事業はできますか?
A.可能です。ただし収益は法人目的の達成に充当し、社員に分配することはできません

Q6.設立までどのくらいかかる?
A.書類が整っていれば2~4週間が目安です。


10. 当事務所のサポート(例)

  • 定款設計(会員制度・議決権・理事・監事・代表理事の選任方法 ほか)
  • 公証役場の手配・やりとり
  • 設立時役員の選任手続(議事録・就任承諾書の整備)
  • 設立登記一式の申請・完了まで伴走
  • 設立後の変更登記・任期管理、各種規程整備のご相談

まずは目的・体制・資金計画を伺い、最短ルートで設立できるよう設計します。
書式一式(議事録・就任承諾書・印鑑関連等)も漏れなくご用意します。

113-0034

東京都文京区湯島四丁目6番12号B1503

栗栖司法書士行政書士事務所

電話番号 03-3815-7828

携帯番号 080-8911-8112

お問い合わせはこちら

当事務所は予約制です。事前に電話かメールでの予約をお願いします。
なお、1回目のメール相談は無料です

目次