実は、この間の日曜日にCFPの相続・事業承継の試験を受けていました。
結果は…。1か月後にわかります…。
本当は「リスクと保険」「タックスプランニング」も受験予定だったのですが、勉強が間に合いませんでした。
何とか全科目合格、そして、FP1級に合格したいものです。
今回は、CFP試験の勉強の経験を生かして(私はFP2級を持っておりAFP登録をしています)、相続税の一般的な話をしたいと思います。
相続のご相談でよくいただく質問の一つが、
「相続税はいくらかかるのか?」
というものです。
実際に財産を取得するとなると、
「税金で持っていかれそう…」
「税理士に相談すべき?」
と不安になる方も多いはずです。
司法書士は相続税の計算や申告はできませんが、
ここでは “一般的な相続税の考え方” をわかりやすくまとめます。
1. 相続税がかかるかどうかは「基礎控除額」が目安
相続税には、一定額まで非課税となる「基礎控除額」があります。
● 基礎控除額
3,000万円 + 法定相続人の数 × 600万円
この金額を超える財産を取得した場合に、相続税申告が必要になる可能性があります。
2. 法定相続人の数はどう判断する?(計算方法つき)
基礎控除額を正しく出すには、法定相続人の人数を正確に数えることが大切です。
● 法定相続人を数える基本(優先順位)
- 配偶者(常に相続人)
- 子(直系卑属)
- 父母(直系尊属) 子がいないとき
- 兄弟姉妹 子も父母もいないとき
実際に相続するかどうかではなく、
“民法上の相続人”を人数としてカウントします。
● 人数計算の注意点
✔ 相続放棄した人も人数に入れる
基礎控除の計算では、
相続放棄した人も法定相続人としてカウントします。
例)配偶者+子2人のうち1人が放棄 → 法定相続人は3人のまま
✔ 養子は基礎控除に含める人数に制限がある
一般的には次のように扱われます。
- 実子がいる場合 → 普通養子は1人まで
- 実子がいない場合 → 普通養子は2人まで
- 特別養子は実子と同じ扱い(人数制限なし)
✔ 代襲相続の孫は「子」と同じ扱いで数える
子が先に亡くなっている場合、孫が相続する(代襲相続)。
その孫は子と同等に扱われ、人数にも入れます。
ケース別:法定相続人の人数と基礎控除額
① 配偶者+子2人
法定相続人=3人
→ 基礎控除 = 3,000万+600万×3 = 4,800万円
② 配偶者+実子1人+普通養子2人
養子は1人までしか数えられないため
法定相続人=配偶者(例)+実子1+養子1=3人
→ 基礎控除 = 4,800万円
③ 配偶者+子2人の場合で子供1人が相続放棄
人数は減らない
→ 法定相続人=3人
→ 基礎控除=4,800万円
④ 配偶者なし・子なし・父母が健在
法定相続人=父母2人
→ 基礎控除=4,200万円
3. 相続税はこうやって計算する(一般的な流れ)
相続税の計算は複雑ですが、流れを知っておくだけで理解しやすくなります。
ここでは一般的な計算の方法を記しておきますが、詳細を知りたいからは国税庁のサイトで確認してください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm
① 各財産の評価額を出し、課税価格の合計額を算出
土地・建物・預金・有価証券、生命保険の一部、死亡退職金などを評価。
債務や葬式費用を控除します。
② 基礎控除額を差し引く
課税遺産総額=課税価格の合計額 − 基礎控除額
③ 法定相続分に基づき「仮の取得金額」を計算
実際の分割内容ではなく、
法律に定められた割合で取得したと仮定して計算します。
④ 仮の取得金額に税率をかけ、相続人ごとの税額を算出
税率(10〜55%)を当てはめて、各人の“仮の相続税額”を求めます。
国税庁の相続税の速算表では税率は以下の通りとなっています(令和7年4月1日現在法令等)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | - |
| 1,000万円超から3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円超から5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円超から1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円超から2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円超から3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円超から6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
⑤ 各人の税額を合計し、相続税の総額が決まる
これで相続税の総額が確定します。
⑥ 実際の遺産分割に合わせ、各人の負担額を再調整
実際の取得額に応じて、最終的な税額を配分します。
4. 誰が相続するかで税額が変わる「2割加算」
法定相続分とは別に、
一部の相続人は相続税額が20%増額されるという仕組みがあります。
● 2割加算
● 加算されない人
- 配偶者
- 被相続人の1親等の血族(子又は父母)
- 代襲相続となった被相続人の直系卑属(孫やひ孫など)
●加算される人
具体的には、兄弟姉妹やその子、代襲相続人以外の孫などが2割加算の対象となります
また、
- 1親等の血族の代襲相続人が相続放棄した場合は、相続人でなくなるので2割加算の対象となります
- 被相続人の養子となった孫(代襲相続人を除く)も、2割加算の対象です(ここはCFP試験の過去問によく出ていました)
これも詳しく知りたい方は、国税庁のサイトでご確認ください。https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4157.htm
5. 3年以内に相続財産を売却した場合の「取得費加算」
相続税の相談でよく聞かれるのが、
相続税申告期限の翌日から3年以内に不動産などを売却した場合です。
● 取得費加算の仕組み(一般的な概要)
相続した財産を売却した際、
支払った相続税の一部を取得費に加算できるため、
売却益が減り、譲渡所得税を抑える効果があります。
売却の予定がある場合は、必ず税理士へ相談しましょう。
6. 相続税の申告が必要かどうか
一般的には
・財産が基礎控除額を超える
・特例適用で税額が変わる可能性がある
場合に申告が必要です。
申告期限は相続開始から10か月以内です。
ちなみに、相続税の申告書の提出先は、被相続人の死亡の時における住所が日本国内にある場合は、被相続人の住所地を所轄する税務署です。
相続人の住所地を所轄する税務署ではないのでご注意ください。
より詳しい内容は、以下の国税庁のサイトをご覧ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm
7. 相続が発生したときの「準確定申告」も忘れずに
相続が起きた年に、亡くなった方が所得を得ていた場合、
相続人が代わりに確定申告する必要があります。
● 準確定申告とは
亡くなった方の 1月1日〜死亡日までの所得を申告する手続き。
● 期限
相続開始を知った日の翌日から4か月以内
相続税の申告よりも期限が早いことがあるため要注意です。
それにしても、国税庁の回し者のような記事になりましたね…。
まとめ
でも、試験勉強の際には、国税庁のサイトには本当にお世話になりました。
他にも役に立つ内容が国税庁のサイトにはたくさんありますので、もし「相続税について知りたい」という方がいら社ればご覧いただければと思います。
相続税は、
・誰が相続人なのか
・どれだけ財産があるのか
・どのように分割するのか
によって大きく変わります。
私は税理士ではないので具体的な計算はできませんが、一般的な制度の説明を通じて、よりよい解決方法を提示することができます。
相続で不安がある場合は、早めにご相談ください。
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