はじめに
「自分で不動産の登記申請をしたけど、補正の通知が届いた」「登記が却下されたけど、これってどういう意味?」 そんな疑問や不安を感じていませんか?
登記申請には専門的な書類や記載内容が必要になるため、ミスや不備があると「補正」や「却下」の通知を受けることがあります。
この記事では、
- 登記申請の「補正」と「却下」の違い
- 補正の期限や方法
- 却下される理由とその対処法
を、初心者にもわかりやすく解説していきます。
自分で登記申請をした方にこそ知っておいてほしい情報をまとめています。
なお、私は基本的に申請はネットで行うので(いわゆる特例申請)、今回は私が現在使用している、法務局の申請用総合ソフトを使って登記申請をして補正の連絡が来た場合を想定させていただきます。
このソフトは最初は使い勝手が悪かったのですが、最近は慣れてきました。
ぜひ最後までお読みいただければと思います。

登記申請の「補正」とは?【登記 補正とは】
登記申請の「補正」とは、申請内容や添付書類に軽微な不備や記載漏れがあった場合に、それを修正するように登記官から指示される手続きです。
よくある補正の例
- 添付書類の不足:たとえば「固定資産評価証明書の年度が間違っている」「必要な戸籍謄本が抜けている」など
- 申請書の誤記:例として「申請書に記載した不動産の地番が登記簿謄本と一字一句異なっている」など
- 申請人の一部が記載されていない場合など
補正が必要な場合、法務局から連絡が来ます。
これは「内容を直せば受け付けますよ」という意味なので、正しく対応すれば登記手続は継続できます。
登記申請の「却下」とは?【登記 却下とは】
一方、「却下」とは、登記官が申請を受け付けず、申請そのものを無効にする処分のことです。
補正で対応できない重大な誤りがあった場合や、法的に登記できない内容で申請された場合に「却下」となります。
そして、同じ内容の登記をする場合は、再度申請をする必要があります。

よくある却下理由の例
一般的に、不動産登記法25条の1号から5号までに該当する場合は、補正を命ずることなく却下されます。
なお、1号から4号までの場合は、取り下げの機会を与えたのちに却下します。
第25条登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない。
- 申請に係る不動産の所在地が当該申請を受けた登記所の管轄に属しないとき。
- 申請が登記事項(他の法令の規定により登記記録として登記すべき事項を含む)以外の事項の登記を目的とするとき。
- 申請に係る登記が既に登記されているとき。
- 申請の権限を有しない者の申請によるとき。
- 申請情報又はその提供の方法がこの法律に基づく命令又はその他の法令の規定により定められた方式に適合しないとき。
おそらく、登記業務に携わった方にはあまりわからないと思いますが、この1号から4号までに該当するというのは、相当なレベルです。
正直かなりやばい感じですね…。
例えば3号なんかすでに登記がされているものに対して、登記申請するわけですからね…。
登記官からすれば「なんじゃこりゃ!」って感じでしょう…。

個人的な感想ですが、「きちんと調べてやれば、いきなり却下されることはほとんど無い」と私は思っています。
法務局もそこまで不親切ではないですからね。少しくらいの瑕疵ならば補正の機会を与えてくれるはずです。
今は「寄り添う」ことが大事ですから…。
ご自身で登記申請をされる場合は、この1号から5号までに該当しないように注意してください。
登記申請の補正と却下の違いとは?【登記申請 補正 却下 違い】
比較項目 | 補正 | 却下 |
---|---|---|
手続の継続 | 可能 | 不可(再申請が必要) |
登記官の判断 | 軽微な不備 | 根本的な問題がある |
対応方法 | 内容を修正・補完する | 最初からやり直し |
登録免許税 | そのまま使用可能 | 基本的に戻らない |
補正通知が届いたらどうする?【登記 補正方法】
登記官から補正通知が届いた場合は、次の手順で対応しましょう。
補正方法(電子申請の場合)
特例申請の場合、登記官が認めた特殊な場合には、書面でも補正ができるのですが、今回はオンラインでの補正について書いていきたいと思います。
登記ねっとの場合は、メールなどで通知が来た場合、まず登記・供託オンライン申請システムにログインします。
次に、補正通知を確認します。

これは法務局のサイトのスクリーンショットなのですが、受付確認の右に「補正」という部分があると思います。
補正のある場合は、この部分が青くなります。
クリックしたら、最初に入力した画面が現れます。

そこの該当の申請データを修正します。
また、補正をした場合は、補正事項に補正した内容を書くことも必要です。
この部分については、特に書き方は決まっていないので、どこを修正したかが分かるように書けば大丈夫です。
余談ですが、法務局のオンライン申請体験コーナーは、登記申請を自分でやろうとする方にはおすすめです。非常に役に立ちます。

ただ、残念ながら補正の仕方については教えてくれないんですよね…。
最後に、必要書類を再アップロードし、電子署名を付与して送信します。
これで完了です。
それほど難しくはないと思います。
補正の期限はいつまで?【登記 補正 期限】
電子申請の場合、補正については電話で連絡が来ます。また、メールにも補正の連絡が来るので、メールをしっかりと見ておく必要があります。
補正の連絡が来たのに気が付かずに、補正期限を過ぎると、自動的に申請は却下されてしまいます。
そして再度申請する場合には、改めて登録免許税が必要になるため、金銭的な負担も発生します。
再度登録免許税を払うのはお金が勿体ないので、補正の通知を受け取ったら、できるだけ早めに対応しましょう。
登記が却下されるのはなぜ?【登記 却下 理由】
登記申請を却下された場合、「なぜ却下されたのか分からない…」と方も多いと思います。
特に、司法書士などの専門家に依頼せず、本人で相続登記などをされた場合はそうなりますよね…。
よくある却下理由は以下の通りです。
- 所有者の同意を得ていない所有権移転登記(最近有名な地面師などがこのケースです)
- 登記できない権利の申請(例:一部の使用権や債権など)
- 誤った登記所(管轄外)への申請
ちなみに、補正の場合は、オンラインで申請をした場合は電話やメールで連絡が来るのですが、却下の場合は書面で連絡が来ます。
却下理由書を読み取るのが難しい場合は、直接法務局に問い合わせるか、専門家に相談するのが確実です。
そうなる前に、当事務所にご依頼いただくのがもっといいのですが…。

私の登記申請初体験の話
私は司法書士になるまで、不動産登記というものを全くしたことがありませんでした。
初めて私が経験した不動産登記は、自宅マンションの抵当権の抹消でした。
「抵当権抹消なんて楽勝だろう」と思われることでしょう。

しかし、これが本当に面倒でした。
父親が債務を弁済したのは、平成6年のことです。もう30年以上前のことです。
抵当権者だった会社は、吸収合併されていました。
まあ、昔のものでも委任状があれば良いのですが…。色々ありますよね…。
更に驚いたのが、そのマンションが文京区と台東区にまたがっていたことです。
文京区の登記の管轄は東京法務局です。
一方で台東区は東京法務局台東出張所になります。
よく司法書士試験で勉強する区分建物の多くは敷地権と一体になっています。
そのため、区分建物の抵当権抹消登記の申請をすれば「一発オッケー」なわけです。
しかし、あろうことか、私のいるマンションは、区分建物と一体化していないマンションでした!
「何だこれは!」と最初は驚きました。

そして、「抵当権の本を読めばなにか書いてあるのでは」と思って調べたのですが、意外にないんですよ…。
まあ、何回か登記申請をしていれば「こんなの大丈夫」と言えるのでしょうが、なんせ初めての登記申請です。
冷や汗かきまくりでした。
しかし、無事申請は何事もなく完了しました。
詳しい話は別の機会にしますが、最初の登記申請は、いい思い出になったと思います。

よくある質問(FAQ)
- 補正の連絡が来ました。登記はどうなるんですか?
-
補正すれば登記は継続されます。指摘内容を直して期限内に提出しましょう。
- 却下されたらもう登記できませんか?
-
いいえ、内容を正しく整えれば再申請できます。
- 却下された場合、支払った登録免許税は戻ってこないんですか?
-
いいえ、現金還付されます。
- 電子申請でも補正できますか?
-
はい、私の場合は、申請用総合ソフトにログインし、補正指示に従って修正・送信します
- 補正書は自分で書けますか?
-
内容が簡単であれば自分でも可能ですが、自分で対応できるか判断に迷う場合もあるので、難しい場合は専門家に相談するのが一番です!
補正・却下されないために気をつけること
補正や却下をされないためには、申請前に書類や記載内容をしっかりとチェックすることが必要です。
申請用総合ソフトには、チェック機能があるので、申請書を作成した場合は、オンラインで送付する前に、しっかりとチェックして、添付書類などの漏れがないように注意しましょう!
なにより、不安な場合は、事前に専門家に見てもらうのがベストです。
その場合は、栗栖司法書士行政書士事務所にぜひご依頼ください!
まとめ
登記申請の「補正」と「却下」は似ているようでまったく異なります。
- 補正とは:内容を直せば登記が続けられる手続き
- 却下とは:申請そのものが無効となり、再申請が必要
補正の連絡が届いたら、「補正 期限」を意識して早めに対応することが大切です。
「補正の仕方」や「却下になった理由」がわからない場合は、早めに専門家へ相談しましょう(特に私に…)。
自分で対応できるか迷う段階でも、一度(私に)相談してみることをおすすめします。
不動産の登記は重要な手続き。自分で申請する場合でも、正しい情報と対処法を知っておくことで、安心して手続きを進められます。
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