相続登記で登記簿の住所が古い場合は?住民票の除票がないときの進め方

「父の家を相続したいのに、登記簿には引っ越す前の住所が残っている」「市役所で、古い住民票の除票は発行できないと言われた」。このようなとき、相続登記を進められないのではないかと不安になる方もいらっしゃいます。

登記簿の住所が古いことや、住民票の除票が取得できないことだけで、直ちに相続登記ができなくなるわけではありません。大切なのは、登記簿上の所有者と亡くなった方が同じ人であることを、どの資料で確認できるかです。

この記事では、最初に確認する書類、戸籍の附票で分かること、住所のつながりを確認できない場合の進め方を説明します。書類が足りない段階でのご相談にも役立つよう、確認する順番を整理しました。

目次

相続登記で、亡くなった方の住所を確認する理由

登記簿上の所有者と被相続人が同じ人かを確認する

相続登記は、亡くなった方が所有していた不動産の名義を相続人へ変更する手続きです。そのため、戸籍で相続関係を確認するだけでなく、登記簿に記載された所有者が、今回亡くなった方であることも確認します。

例えば、登記簿には「松戸市の住所」が記載され、亡くなった時の住所は「文京区の住所」だったとします。氏名が同じでも、住所が異なるため、住所の履歴などから同じ人であることを示す資料を確認します。これは説明のための例です。

住所と本籍は別の情報

戸籍には本籍が記載されますが、本籍は実際に住んでいる住所と同じとは限りません。「戸籍に名前があるから、登記簿上の住所も証明できる」とは限らない点に注意が必要です。

登記簿上の住所、亡くなった時の住所、戸籍の本籍を見比べ、何が一致し、どこがつながらないのかを整理すると、必要な資料を選びやすくなります。

まず確認するのは、住民票の除票と戸籍の附票

書類主に確認できること取得先の基本
住民票の除票亡くなった時の住所、記載されている前住所などその住民票を管理していた市区町村
戸籍の附票・除附票その戸籍に在籍していた期間に記録された住所の履歴その戸籍の本籍地の市区町村
戸籍・除籍・改製原戸籍死亡の事実、相続関係、本籍などそれぞれの本籍地の市区町村
登記事項証明書登記簿上の所有者の氏名・住所、対象不動産法務局・オンラインなど

住民票の除票だけで、すべての転居を追えるとは限らない

亡くなった方の住民票の除票には、最後の住所などが記載されます。ただし、何度も転居している場合、除票一通で登記簿上の住所まで確認できるとは限りません。登記簿の住所が記載されていないときは、戸籍の附票など、ほかの資料の確認を進めます。

住民票の除票を請求するときは、相続登記に使うことを伝え、本籍の記載が必要かを確認してください。市区町村の申請書では、必要な事項を選択する形式になっていることがあります。

戸籍の附票は、過去の戸籍に付いているものも確認する

戸籍の附票は、住所の履歴を調べる手掛かりになります。しかし、転籍や戸籍の改製などがあると、現在の戸籍の附票だけでは、それ以前の住所を確認できない場合があります。

現在の附票に登記簿上の住所が載っていなければ、以前の本籍地や、改製前の附票・除附票の有無も確認します。「今の附票にない」ということと、「住所の記録がどこにも残っていない」ということは分けて考えましょう。

相続登記の必要書類全体は、相続登記に必要な書類一覧でケース別に整理しています。

住民票の除票が取得できないときの進め方

保存期間が延びても、廃棄済みの記録が戻るわけではない

2019年6月20日施行の法改正により、住民票の除票や戸籍の附票の除票の保存期間は、従来の5年から150年に延長されました。ただし、すでに廃棄されていた記録が、この変更により復元されるわけではありません。

例えば松戸市は、2014年6月20日以降に消除・改製されたものについて保存期間の延長を案内する一方、2014年6月19日以前のものは発行できないと説明しています。これは松戸市の案内であり、ほかの自治体の発行可否は、それぞれ確認が必要です。city.matsudo.chiba.jp

以前「保存期間が過ぎた」と言われたことがある場合も、現在の取扱いで発行可能かを改めて確認するとよいケースがあります。詳細は各市区町村に掲載されているの保存期間に関する案内をご覧ください。

発行できない理由と、代わりに残っている記録を整理する

  • どの自治体へ、どの期間の記録を請求したか
  • 発行できないのは、住民票の除票か、戸籍の附票・除附票か
  • 保存期間の経過なのか、請求先や対象の戸籍が違うのか
  • ほかの本籍地・住所地に記録が残っている可能性があるか
  • 権利証など、取得時の資料が手元にあるか

「除票がない」とだけ伝えるより、このように整理すると、次に確認すべき資料を絞りやすくなります。発行できなかった事情が分かる案内やメモも、相談時の手掛かりになります。

住所のつながりが分からない場合、権利証(登記済証等)が役立つこともある

相続登記で通常必須ではない権利証(登記済証等)が、補足資料になる場合

相続登記では、亡くなった方の権利証が見つからないことだけを理由に、手続きを諦める必要はありません。一方で、住所のつながりを通常の資料で確認できない場合には、権利証が役立つことがあります。

東京法務局の相続登記の記載例でも、住民票の除票や戸籍の附票だけでは登記簿上の住所につながらない場合の資料として、登記済証が案内されています。昔の権利証が残っている場合は、処分せずに保管してください。

houmukyoku.moj.go.jp

権利証(登記済証等)もない場合は、残っている資料から個別に検討する

登記済証も見つからない場合は、登記記録、戸籍、取得可能な住所の資料、取得時の書類など、残っている資料を確認し、必要に応じて管轄法務局へ確認しながら進め方を検討します。

固定資産税の資料や売買契約書などは、調査の手掛かりになることがあります。ただし、それだけで常に同一人物であることの証明が足りるとは限りません。

「上申書を一枚出せば必ずよい」「相続人全員の実印があれば必ず登記できる」と、書類を一律に決めることはできません。不足している証明と、補うための資料を確認してから、必要な書類を準備します。

書類が不足していても、相続登記の期限は確認する

相続登記は2024年4月1日から義務化されました。原則として、相続の開始を知り、かつ、その不動産の所有権を相続により取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。

2024年4月1日より前の相続も対象です。同日時点ですでに相続による取得を知っていた未登記の不動産については、原則として2027年3月31日までに対応する必要があります。

moj.go.jp

**書類がないから期限も自動的に延びる、と考えて放置しないことが大切です。**資料の調査に時間がかかりそうな場合は、何が不足しているかと期限の両方を確認しましょう。義務化の概要は、相続登記の義務化についてをご覧ください。

相談前に分かる範囲で整理しておきたいこと

  • 亡くなった方の氏名と死亡時期
  • 不動産の所在地。地番・家屋番号が不明なら、その旨もお知らせください
  • 登記簿上の住所と、亡くなった時の住所
  • 分かる範囲での過去の住所・本籍
  • すでに取得した書類と、発行できなかった書類
  • 権利証などの有無、相続人のおおよその人数、遺言の有無

すべて調べ終えてから相談する必要はありません。例えば「父名義の松戸市の家。登記簿は昔の住所で、市役所では除票を発行できないと言われた」という概要だけでも、確認する順番を整理する手掛かりになります。

最初のお問い合わせでは、マイナンバー、本人確認書類の画像、口座番号などを送る必要はありません。資料を確認する方法は、ご事情を伺ったうえでご案内します。

ご依頼の範囲については相続登記のサービス案内、費用の目安は相続登記の料金ページをご覧ください。追加調査や書類作成が必要な場合は、その内容と費用を確認してご案内します。

よくあるご質問

登記簿に古い住所が残っていても、相続登記はできますか?

古い住所が記載されているだけで、直ちに相続登記ができなくなるわけではありません。登記簿上の所有者と亡くなった方が同じ人であることを、住民票の除票、戸籍の附票などで確認します。つながりが確認できない場合は、別の資料による確認を検討します。

現在の戸籍の附票に、昔の住所が載っていません。どうすればよいですか?

転籍や改製より前の附票・除附票が必要な場合があります。以前の本籍地や、どの時期の記録を取得したかを確認してください。ただし、保存状況によって取得できないこともあります。

住民票の除票も権利証もないと、必ず登記できないのですか?

一律にできないとは言えません。まず取得可能な公的資料や手元の書類を確認し、同一人物であることをどのように示せるかを検討します。必要な資料や進め方は、登記記録と相続の事情によって異なります。

文京区の事務所へ行けなくても相談できますか?

メールや郵送などを組み合わせて進められる場合があります。土日祝日のご相談も、事前の日程調整により対応できる場合があります。本人確認や原本確認など、必要な確認方法を含めてご事情に応じてご案内します。

住所や書類がつながらない相続登記も、まずは状況をお聞かせください

「必要な書類が取れない」「古い住所が分からない」という理由で、手続きが止まっている方もいらっしゃいます。書類が足りないことを、ご自身で解決してからお問い合わせいただく必要はありません。

栗栖司法書士事務所では、司法書士・栗栖英俊が、ご事情と手元の資料を確認し、必要な手続きと費用の見通しをご案内します。文京区を拠点に、東京東部・千葉県北西部・埼玉県南部の相続登記を中心に対応しています。

戸籍収集から任せたい方も、用意した書類を確認して申請を依頼したい方も、ご希望をお知らせください。来所が難しい方や平日に時間が取りにくい方には、連絡方法と日程を調整してご案内します。

相続登記についてお困りの方へ

戸籍の収集、相続人の確認、遺産分割協議書の作成から登記申請まで、司法書士本人が直接対応します。

相続登記 66,000円(税込)から

※登録免許税、戸籍取得費用、郵送費などの実費は別途必要です。

電話:080-8911-8112

栗栖司法書士事務所

対応する司法書士については、事務所紹介・司法書士プロフィールをご覧ください。

参考情報

※本記事は2026年10月6日時点の情報に基づく一般的なご案内です。取得できる資料や必要書類は、登記記録・自治体の保存状況・相続の事情により異なります。

目次